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イ・ミスクつながりで、25歳の時の「桑の葉」。

恥ずかしながら、コリアン・エロスのタイトルに惹かれ十年以上前に見たことがあって、今回は二度目の視聴なんですが、見てびっくり、こんなにええ映画やったんか・・・

1920年代日本支配下朝鮮の貧しい山村。村一番の美女アンヒョプ(イ・ミスク)の夫のサムボ(イ・ムジョン)は、博打場へ行くと云って出かけては、2~3カ月に一度しか帰って来ない。暮らしのために、彼女は村の男たちに体を売っているのだが、四人の子持ちチルソン(ハン・テイル)と隣家の下男サムドル(イ・デグン)の二人だけは、未だその恩恵にあずかれないでいた…ってな出だしのお話。

まずは、アンヒョプ(イ・ミスク)の魅力でしょう。映画は、彼女の威勢のよい下品な罵声で始まり、終わる(ちょっと泣き顔付き)のですが、その貧しく欲張りで、下品で哀しく、そして色っぽい女性像は素晴らしく、それでいてハ・ジウォンを思い起こさせる健康的で溌剌とした雰囲気は一見の価値ありです。もちろん艶笑譚なので、彼女のHシーンが何度か出てきますが、露出は少な目で素朴に、何より明るく演じているので、映画全体を開放的な感じにしていてこれまた意外に好感です。さらには、のどかで貧しい山村の風情も、ロケかオープン・セットか分かりませんが、粗末な家々、蚕棚、洗濯用水湧き場、葡萄畑、桑畑、椎茸栽培とか、素朴でスケベな村人たちも含めて、活き活きと描かれていて心地よかったりします。

一方ドラマとしては、あちこちで指摘されている通り、冒頭とラストでサムボにつきまとう日本憲兵を描くことで、サムボが抗日運動家であることを暗に示唆しているので、見終えた後、アンヒョプが体で稼いだ金は、本人が知らないまま抗日運動に使われてることに気づくことになります。原作は、羅稲香(ナ・ドヒャン)が結核で亡くなる前年1925年23歳の時に刊行された短編小説だそうで、まさに「暗に」抗日の意思を示すしかなかった時代の作品であることを考えると、ますます侮れない映画に思えてきます。

借りるのに多少は抵抗はあるでしょうが、一度は見ても損のない一本だと思います。