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しつこくアン・ソンギつながりで、「真実ゲーム」。

ハ・ジウォンの驚愕の銀幕デビュー作にして、心理サスペンスの佳編。地下駐車場のバンの中で、人気ロック歌手が薬物過剰投与で死に、17歳のファン・クラブ会長が、強姦されたので注射器で殺した、と自首してくるが・・・ってなお話。ちなみに真実ゲームとは、お互い質問し合い、必ず本当の事を答えなくてならないんですが、一度だけ嘘をついてもよくて、その嘘を当てる、というものだそうで、韓国ドラマ・映画ではよく出てきます。「パク・ボンゴン家出事件」では、アン・ソンギが子役相手に、母親の勤め先は聞き出せたけど、下宿の住所を聞き出せず張り込むことになる、なんて洒落た使われ方をしてました。

大物事件から下ろされた失意の野心家検事に、名優アン・ソンギ、自首した女子高生に、この演技で華々しい銀幕キャリアをスタートするハ・ジウォン。担当刑事に『茶母』の義理堅い謀叛山賊が印象的なクォン・ヨンウン。ちなみに、リンチする暴力女子高生のリーダ格に、後にハ・ジウォンと何度も共演することになるシニ、アン・ソンギの娘に、後に「踊るJSA」主演リュ・ヒョンギョンの顔が見えます。

とにかく、ハ・ジウォンの演技につきます。とても銀幕初出演とは思えない表情で、天使と悪魔、優等生とスケ番、清楚と妖艶・・・と女性に潜む両面性をイヤという程見せつけてくれます。でも良く見ると、密室の取調室で体面するアン・ソンギの演技が、巧く彼女から演技を引き出してるように見えたりもして、いずれにせよ、この二人の演技合戦を見るだけで、この映画十二分に価値があります。

逆にそれ以外にあまり魅力はなく、サスペンスの盛り上げ方もありきたりですし、二人を取り巻く人物像も光ってなく、特に、あまりに平板な説明調のラストには、これも真実ゲームの「嘘」の一つかと思った程です。おそらく、二人の演技を引き出すのにすべての力量を使い果たしたんだろうと勝手に想像しています。

何にせよ、二人の演技を見てモトを取れた気になれる人向け、限定的お薦めの一本です。