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まだまだ、器用なイ・ボムスつながりで、「新装開店」。

田舎町の中華料理店を巡る、ブラック・コメディの佳編。キム・スンウの中華料理店の真向かいにジャージャー麺と肉団子しかメニューにない「アバングン(阿房宮)」という怪しい中華料理店がオープン。不気味な店員にも関わらず、感動して涙を流す程美味しいジャージャー麺に客が殺到、キム・スンウの店は閑古鳥が鳴いて・・・ってなお話。キーワードは「人肉」。

中華料理店社長に、TVとか日本でも人気のキム・スンウ、その水商売あがりの派手な妻に、メロ・コメどっちもいけるチン・ヒギョン、料理長に、名コメディアン、パク・サンミョン、出前持ちに、何を演っても巧いイ・ボムス。怪しい「阿房宮」の方には、社長に、「SSU」主演キム・ヨンホ、その妻に、「H」精神科医師キム・ソンギョン。他にも、野菜行商人『青春の疾走』『新入社員』とかTVでおなじみのキム・セジュン、巡査「ライアー」コン・ヒョンジン、スーパー店主『勝手にしやがれ』キム・ミョングクなどの顔も見えます。

どんどん追い込まれ、錯乱していくキム・スンウ側四人と、無表情で台詞も殆どない怪しい「阿房宮」側の対比を軸に、「爪」「オルガミ~罠~」とサイコ・スリラーを撮ったキム・ソンホン監督だけあって堂に入ったホラー風味ブラック・ギャグの連続、二転三転するストーリーが観客を引き込んでいきます。ただ、あまりに達者なコメディアンが多数出ていることで、残酷シーンとかのブラック風味を多少打ち消す感じが否めないこともあって、似たような趣向では、ドラマ俳優中心の抑えた演技が光る前年の「クワイエット・ファミリー」の方が上回っている感じはします。それにしても小心者からどんどん狂っていくキム・スンウの演技はかなり見ものです。

途中幾分良識を踏み外しているような所もあって、必ずしも見終わった感じがスッキリしない気もしますが、原始的なエネルギーにあふれるブラック・コメディの佳編であることは間違いないと思います。