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さらに、イ・ボムスつながりで、「オー!ブラザーズ」。

コッポラ「ジャック」と同様、世界で千あまりの症例とは云え実在するウェルナー症候群等の早老症をネタにしたコメディなので見るのがためらわれたのですが、不謹慎ながら映画の出来は相当なものです。

12歳ながら30歳過ぎの風体を持つ少年に、どんな役でもこなすイ・ボムス、その異母兄でいかがわしい探偵に、「イルマーレ」「ラスト・プレゼント」の名優で恐らく初めてのコメディ出演イ・ジョンジェ、残酷な腐敗刑事に、悪役は珍しい『茶母』「麻婆島」のイ・ミンシク、探偵社の社長に、「アタック・サ・ガスステーション」パク・ヨンギュ、借金を返さないクラブ社長に、「多細胞少女」の女装が忘れられないイ・ウォンジョン、といった達者な面々・・・

イ・ボムスのごつい風体と下着通販TVに見入るませた少年のアンバランスで笑わせる演技も絶妙ですが、何と言っても、イ・ジョンジェ。何でこんな映画に、と思ったのですが、借金まみれで自堕落な兄が、金目当てで近づいた弟と打ちとけていきながら、過去のトラウマを乗り越えていくあたりは、なるほどこれなら納得、の演技を見せます。さらに、イ・ミンシクの珍しい悪役、パク・ヨンギュの相変わらずマヌケな社長役、イ・ウォンジョンの妖しいホモ風演技も、二人を巧く脇から支えています。

シナリオも、金にまつわるどぎついバタバタと、兄弟の父と二人の母にまつわるありがちではありますが切ないエピソードを巧く織り合わせてますし、ラストの一発ショットも稀に見る鮮やかさです。ただ、「チャイルド・プレイ」のチャッキーを度々登場させる所などは、やはりこの病気への畏敬の念に欠けると感じざるを得なかったりもします。

あの名作「レインマン」も自閉症の扱いをめぐり評価が真っ二つに割れましたが、この映画も似たような状況だと思われます。こればかりは、ご自身でご覧になって、判断頂くしかないでしょう・・・