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ペ・ジョンオクつながりで、「アンニョン、兄ちゃん(奇跡の夏)」 。

もの凄く良くできた映画であることは分かりますが、この手の映画はどうしても好きになれません。実話に基づいていて、しかもそのモデルの兄弟もエキストラ出演しているそうですが、描かれている現実の余りの重さに、エンタテインメントとしての映画が耐えきれていない、って感じがするためです。勿論、エンタテインメントが映画の役割のすべてではありませんが、映画が巧ければ巧い程、ちゃんとしてればしてる程、その感じは強くなります。

とにかく、世に氾濫するお気楽で不謹慎な難病ものに比べると、全く比較にならないほど素晴らしい映画であることは間違いありません。まずは主役の三人の少年でしょう。弟パク・チビンは「家族」ではそれほど印象には残らなかったんですが、その天真爛漫で残酷で切ない演技は、特に病気の兄に両親の愛を取られるのではないかという苛立ちなんかは特に、天才と思わせますし、兄ソ・テハンも、穏やさ、優しさ、そして大人すら耐えられないかもしれない苦しみを実に見事に演じきっています。ウギ役のチェ・ウヒョクも凄いです。大人たち、兄弟の母、ペ・ジョンオク、父、パク・ウォンサン、ウギの母、オ・ジヘ、父、イ・スンフンも、ドキュメンタリーを見ているかのようなリアリティを感じさせます。中でも、母親二人の女性トイレでのエピソードには、涙が止まりませんでした。

シナリオも、切なく優しく、そして時には残酷な会話に満ちていて一級品です。ただ、パク・チビンの達者なピ(rain)の振りまねシーンや、コメディアン玉童子(オクトンジャ)やターザンおじさんを使ったファンタジックなエピソードなんかも、もちろん良くできているんですが、個人的には、この映画を楽しんでいいのだろうか、実際に病気の子供たちが見て勇気づけられる映画だろうか、などという思いにかられ、映画に入り込めなくなったのもまた事実です。

へそ曲がりな感想で恐縮ですが、優れた映画であることは間違いないので、機会があれば是非ご覧ください。

全くの余談ですが、パク・チビンがTVのチャンネルを変えていくシーンでちらっと映る人魚泳ぎの映像は、映画「フー・アー・ユー」の一場面で、泳いでいるのはイ・ナヨンです。