イメージ 1

 

もう一本、パク・サンミョンのコメディから、「盗られてたまるか」。

らしからぬ垢抜けたコメディです。特筆すべき点は、ヤクザもベッド(声はちょっと・・・)もトイレもゲロも出さずに笑いを取る点ですね。勿論、その分幾分インパクトに欠けますが・・・

「華麗なる賭け」スティーブ・マックイーンを思い出させる、表の顔は天才ゲーム・プロデューサーの盗賊に、『バリでの出来事』『ごめん、愛してる』で廃人をあまた輩出したソ・ジソプ。彼に狙われる家族には、「殺人の追憶」の舞台、華城(ファソン)の原野に豪邸を構える区役所役人にパク・サンミョン。絶望的な味オンチながら料理が趣味の美貌の妻に「マイ・ボス・マイ・ヒーロー」ソン・ソンミ、熱狂的な神話ファンの長女にチュ・スルギ、発明狂の弟に後に「僕が9歳だったころ」で主演を張るキム・ソク。特別出演では、急所しか狙わない(殆ど唯一のシモネタ)拳法師範パク・クァンジョン、妻の父キム・インムンがとぼけた味わいを見せています。

目茶滅茶かっこいいソ・ジゾプがフリー・クラミングや華麗なアクションを見せながら、ソン・ソンミの強烈な料理の味が忘れられず度々盗みに入るといったマヌケな役を、例の無表情で淡々と演じる一方、パク・サンミョンはオーバアクションなギャグを連発し、その横で、ソン・ソンミが穏やかなアルカイック・スマイルを浮かべつつボケる、といった三人の絶妙のアンバランスが、この映画の笑いの壺です。

多分に「華麗なる賭け」を意識したと思わせるスプリット・スクリーンとかの映像や音楽も小洒落てて、壊れかけの家族の再生物語でもあり、華麗な盗賊物語でもあるというシナリオも上出来で、きっちりと笑いを取れるコリアン・コメディらしからぬ優等生だと思います。