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もう一本チョン・ジュノつながりで、「逆転の名手」。

好き嫌いはありそうですが、この脚本は良くできてます。中学中退で郡山(クンサン)駅前を仕切る与太者兄とソウル大首席の弟という双子をネタに、高校・大学・軍隊・現在と続く大河ドラマで、各時代毎のエピソードが巧くかみ合いながらクライマックスに向かう、独特の味を醸しだす人情ドラマになっています。

余り好きでないチョン・ジュノですが、段々巧いと思うようになってきました。ヤクザで人情味のある兄と、優秀で冷酷な弟の使い分けは、なかなかです。「アラハン」と「無影剣」の間のユン・ソイは、復讐心に燃えながらも知的で可愛いですし、駅前裏通りの薄幸な娼婦キム・ヘナも哀しいですし、二人の母『チャングム』ヨンシン元女官長パク・チョンスも貧しく口汚いクッパ屋がお似合いです。『チャングム』からはトックおじさんイム・ヒョンシクも出てて、久しぶりの悪役ミョン・ゲナムもいけてます。

ともかく、ありがちな双子ネタながら、群山(クンサン)駅前市場とソウルを舞台に、兄弟の確執、女郎街の切ない恋物語(これだけで映画になる位のエピソードです)、虐待、検事総長・議員の陰謀、復讐劇、銀行襲撃、カー・チェイスとかが同じ次元で次々展開していく、独特のリズムのシナリオは相当な豪腕です。見る人によってここは好き、ここは嫌い、ってのが出るでしょうし、かなりご都合主義的なところもありますが、良くできたドラマティックな双子半生記になってると思います・・・何でもブチ込んだクッパみたいに・・・

ちなみに、原題のヨクチョンは、「逆転」と「駅前」、ミョンスは、「名手」と兄の名「ミョンス」、の同音異義語で、「駅前のミョンス」という意味合いも持っています。