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続けてクォン・サンウ主演作から、「野獣(邦題:美しき野獣)」。

私の身近にも熱狂的なクォン・サンウ信者がいるのですが、彼女をして「二度と見たくない」「DVDが出ても要らない」と云わしめた問題作。

やさぐれ刑事とエリート検事が同じヤクザの親分を追うと云う、ハリウッドではありがちな骨格を持ちながら、ユ・ジテとクォン・サンウと云う役者を使う事で、いかにもコリアン・テイストの、はっきりと好き嫌いの分かれるフィルム・ノワールです。初監督作品とは思えない重厚な感じに仕上がっていますが、何となくですが、復讐三部作パク・チャヌクの作風に近い感じが・・・

クォン・サンウは『天国の階段』『悲しき恋歌』(どちらも未見)の貴公子ぶりでブレークしたらしいのですが、この映画では、だらしない格好、無精髭、薄汚い長髪、ってノリで、件のクォン・サンウ狂によれば「パリっとした服装でそよそよと涙を流さないとクォン・サンウじゃない」そうです。私には「同い年の家庭教師」「恋する神父」とかのコメディより、「火山高」「マルチュク青春通り」や本作のような骨太の役が似合うように思えますが・・・

一方のユ・ジテは、クールな前半から、一転して絶叫する法廷シーンへ、その演技力を遺憾なく発揮していて、彼の演技を見るだけでも、この映画価値があると思いますね。

脇では、「大統領の理髪師」で印象的な警護長官を演ったソン・ビョンホが毒々しい悪役を好演。また紅一点として「トンケの蒼い空」とかのオム・ジウォンが清貧な感じで出てて、殺伐とした中のオアシスになってます。ちなみに、彼女のプロフィールには最高傑作『勝手にしやがれ』の名が上がってるんですが、何の役か全然思い出せないのが残念です・・・