先週末、アルゼンチンタンゴを学んでいるスタジオで、特別ゲスト講師を招いての二日間のワークショップがありました。

 

近年、日本古来の武道のエッセンスが様々なスポーツに取り入れられ、パフォーマンスや芸術性の工場に高い効果をもたらしているということで、この技術をタンゴにも応用しようというわけです。

 

 

 

 

講師は笹井信吾さん。まだ青年の雰囲気が残る日本の男という感じ。真面目な雰囲気になると急に焦っちゃうような、笑うとキュートな感じがするのもマルでした。久々にキュンときましたよ!照れ

 

 
 
 
この彼が伝授してくれた「感応」について。
 
感応とは他者や周囲の状況に対して敏感に反応することや、共感的に感じ取ることをさし、感情や雰囲気、エネルギーなどを察知して影響を受けることができる能力や状態を表す言葉だそうです。
 
言葉にするととても難しいので、いろんなエクササイズを通して体感で会得する感覚なのですが、いやぁ、とても興味深いワークショップでした。
 
二日目に口に水を含んだ状態での力の入り具合や安定の状態をそうでない時と比べるエクササイズが、まるでトリック??って思うくらいに不思議な違いで、参加者がみんな驚きの声をあげていました。
 
 
 
 
彼のいろんな言葉が、私に強く刺さり、また疑問を残しました。例えば
 
「よく『腸は第二の脳』とか言われてますけど、僕は腸の方が第一の脳じゃないかと思うのです。生命の初めには最初に消化器官ができて、その後に脳が発達するわけだし」
 
なんて言葉がありましたが、確かに気づくことあり。
 
人生の大きな決断をするときなど、「腹で分かる。腹で決める」とか言いますよね。
 
これ、英語でもGut feelingとか言ったりするので世界共通のことだと思うけれど、それって一体どこでその作用があるのかしら?? 確かに鬱などは腸から来ることなどは以前のリサーチで知っているけれど、でも、お腹を切り開いたところで、脳のような部分はないことだし。
 
この質問に対する講師の見解を尋ねたら、「腹は宇宙だと思います」と返ってきました。なるほどね〜!最近の私の興味の方向にガンガン突き刺さりました。(それは丹田ですか?という質問に対しては、また別物だと答えてらっしゃいました)
 
「感心」というエクササイズもあって、手で相手に触れて相手の中心と繋がって容易く身体を転がすことができることや、相手の中に入っていくこと、相手を引きつけることなど。
 
何もしないで立っているだけだけど、自分の意識を広げるか閉じるかで相手から受ける力を大きく変えられること。なかなか面白かったです。
 
これも、以前自分がサンフランシスコで禅指圧というものを学んだときに会得した感覚を再度思い出すことになりました。
 
同じプラクティショナーでも、ぐりぐり押しているだけでそれが痛みにしかならない人、指がまるで1インチくらい身体の中に入ってくるような感覚が得られる人。
 
私が施術する側でも、相手の身体に入れる場合と固く跳ね返されるような感覚を受けたこと。
 
私はそれが単に施術する側と受ける側の「相性」でしかないと思っていたけれど、ここでちゃんと施術する人と受ける人の「開き具合」というのがちゃんと関係していることに納得したのでした。
 
もちろん、呼吸を合わせるということもとても大切な要素ではあるのですけれど。
 
ただ「私を治してくれ」という気持ちで横になっているだけの人にはせっかくの施術も作用しないのだそうです。
 
施術する人に対して信頼という形で意識をオープンにし、相手の呼吸を読み取りそれに合わせれば、施術の効果も高まるということは知ってそうしてはいましたが、多くの人がそうではないということも知ることになりましたよ。
 
 
 
 
今までの経験の積み重ねで「そうそう」って思うことたくさんあったワークショップでした。「開いてる人」と「閉じてる人」の違いというものを今一度認識した機会でもあったようです。
 
アルゼンチンタンゴも、ただ相手に手を添えて踊ろうとしているだけじゃ、何だかプロレスみたいになっちゃう人もいるけれど、一体となってエネルギーを絡ませて踊れた時は、それこそ「タンゴトランス」という場所に行けるのです。
 
そのためにも、このようなワークショップはそこに近づく助けになると先生も読んだのですな。ニコニコ