去年の9月、緊張した面持ちの男性客。
「誕生日プレゼントを探していて…予算はこのくらいで…」
聞けば、初めてのプレゼントとのこと。あれこれ悩んだ末に
「お守り代わりに」と選んだ誕生石のリングとネックレス。
選び終えてホッとしたのか、途端に饒舌になったその人は
いわゆる「街コン」で結婚相手を探した経緯を話してくれた。
そして今年の5月に入籍をし、9月には無事結婚式をあげた。

奥様になる女性とは今年始めにお会いしたのだが
いつも一歩引いていて、打ち解けるまでに時間が必要だった。

先月末「結婚式の写真ができたので、よかったら見てください」と二人で来店。
正直、他人の結婚式や子供の成長記録というものに興味はなかったのだが
わざわざ出掛けてくださったのでパラパラとアルバムをめくることに。

当たり前だけど、写る人達は皆笑顔で、お天気までも味方していて
不覚にも泣いてしまった。しかも鳥肌をたてながら…。
身内の結婚式だってそんなことなかったのに、泣けてしまったのだ。

普段は眼鏡をかけてるくせに、式のためにコンタクトレンズと格闘した新郎、
入籍を終え、安心からか少しぽっちゃりしてしまった新婦。
新婦を大歓迎&盛大に祝福してくれる、新郎の地元仲間達。
めくるたびに「これでもかっ!」って愛と幸せが飛び出してくるみたいだった。

過去に出席した結婚式や披露宴はどれも関係が深かったからこそ
「無責任になれない」「感情移入しすぎる」ってあったのかもしれない。
だから今回のようにまったくの赤の他人にめちゃくちゃストレートに
「とても楽しかったんです」って言われてしまうとね。
もうただただ純粋な幸せオーラを直接浴びるわけだからこちらも素直になりますわな。
なんかね、ホント  素敵な時間を堪能できた。
ちょっと気持ちがガサガサしてたんだけど、溶かされた。

「ちゅうさん、結婚っていいですよ、とはまだ言えないけどさ
結婚式なんて準備は大変だし、年齢的なこともあったから入籍だけでいいやとも思ったけどさ
いいよ、すごくよかったよ。式、きちんとできて本当によかったよ
しみじみ言われたよ。
ほんの1年前、ガチガチに緊張していたくせに…やるな(笑)って思った。

そっか…結婚式か…
親不孝も程々にしないといけないのかもね。などと思ったりして…
「お見合い」とか「婚活パーティ」とかってなんか好きになれなくて
もっと言うと、「そんなに必死になるものなの?」位に思ってたんだけど
それはあくまでもきっかけにすぎないんだね。
トントン拍子に話が進んでいき、今はきちんと「夫婦」という形になってるふたりは
本当に本当に素敵なふたりだったから。
ますます幸せになってほしいな、心からそう思うよ。
で、たまには幸せのお裾分けをいただきたいな、とも思う。

救われた。明日から少しは優しくなれるかもしれないな。