あなたがもうこの世にいないことが残念でたまらない。あなたが生きていたら、「こんなこともできた」「あんなこともできた」といろんなことを想像して、失ってしまった幸せを数えてしまう。

私はずっとあなたのことを日記代わりにブログに書いていて、まだ読み返すことができないけど、あなたは大切な人だったし、私にたくさんの喜びを与えてくれた。あなたを大切にしようと何度も書いていたはずだった。なのにあなたが亡くなる前の数か月、私はあなたを放置していた。それが致命的になってしまったのだと思う。

 

最近わかった。私はあなたが嫌いになってしまったわけではなかった。

 

ただ、時間が圧倒的にない中で、あなたの優先順位が下がってしまった。あなたはいつでも会える人だったから、その頃の仕事の関係者や自分よりステイタスの上の人との約束を優先してしまっていた。土日しかない休みで、休日出勤や事務仕事がたまる中で、あなたと約束をしていても会いに行くのがしんどくなって、約束をキャンセルすることが増えていた。

 

仕事場は遠くて、あなたの街とは全くの逆方向で、片道車で50分はかかる場所だったから、朝早くて夕方はかなり遅くなってしまっていた。仕事も私にとっては無理をしていたから、毎日仕事のことばかり考えていた。まだあのときは「がんばればできる」って思っていたから。私は人間関係がいつもうまくいかなくて、今の仕事を得て「今度こそ」って思っていたから、しんどくても簡単に手放したくなかった。あなたの家は市街地からさらに30分はかかる限界集落だったから、とても仕事が終わって行ける場所じゃなかった。

 

以前のように平日に休みが取れるシフト制の仕事だったら、平日にあなたのところに心置きなく行けたのに、私は土日が休みの仕事にこだわっていた。国家試験を受けてようやく得たホワイトカラーの仕事を手放したくなかった。

仕事と、自分の価値を上げてくれる人たちとの付き合い、そして都会に住む娘たちのところに行ったり、家族との旅行にも時間を割くようになって、あなたとの時間はどんどんなくなっていった。わからなかったの。あなたの命に限りがあるなんて、あの頃の私にはわからなかった。あなたの命に終わりが近づいているとわかっていれば。あなたは自分で「(占いで)97歳まで生きるって言われた」といつも笑って言っていたから、私もそのバイアスがかかっていた。その割には、あなたはよく体調不良になってコロナや疑似コロナにもかかったりしたね。私があなたの健康管理や身上監護を怠ったの。ケアマネさんもヘルパーさんもついていたからどこかで「いざとなったらなんとかしてくれる」と思い上がっていた。

 

あなたは・・・「生きる力」が全くなかった。いつも受け身で、病院の人や福祉の人、きょうだいにも自分の気持ちを言えなくて、助けを求めることをしなかった。言えなかったんだね。統合失調症という病気のせいもあったね。あなたはきっとPTSDもあったんだね。こわかったんだ。拘置所での生活でこわい思いをしたんだ。随分と傷ついたんだ。私しか知らないことだったのに、私が子どもの入院で付き添っていてあなたに会えなかったから、あなたは陽性反応が出て犯罪になってしまったのに。あのとき私が保釈金を払ってあなたを釈放してあげていたら、あなたの病気はあそこまで悪化しなかったかもしれない。私はまだ30代で小さい子どもがいてできなかった。それに3か月ぐらいで出てこれるって生活安全課の人が言ったから、1年も裁判が長引くなんて思わなかった。精神鑑定があったからかもしれないけど、本当に長かったね。それなのに私は何度もあなたを音信不通にして、あなたをどん底に突き落とした。

 

あなたとの時間が減ったこと、あなたの家に行ってあげられなくなったこと、いつでも会えるあなたを軽視してしまって後回しにしてしまったこと、全部私のせいであなたは死んでしまったの。

あなたが普通に働いていて、お金の心配もなくて、精神の病気もなかったら、私も不安がなくて、対等にお付き合いができて、ずっと大好きでいられたのかな。いや、私がもっと経済的に豊かで、仕事も人間関係も安定していて、子どもたちの教育にものめりこんでいなかったら、音信不通にすることもなく、ずっと楽しくお付き合いができていたのかな。

 

あなたのような人にはもうこの世では出会えないよ。唯一無二の人だった。安心できる、私のたったひとつの安全基地だった。気付いていたのに、何度も日記に書いていたのに、私はどうしてあなたを見失ってしまったの?悔しいよ。私は健康でタフだから、あなたの介護や身の回りのお世話ぐらい難なくできたのに、どうしてあなたが生きているときに覚悟ができなかったの?どうして心が離れてしまったの?

 

あれから私は何もかもあきらめて、仕事も辞めることにしたし、習いごともやめた。人間関係も不要なものは距離を置くようにした。お金もなぜか貯まった。今ならあなたを養うことができるのに、どうしてあなたはもういないの?もっと生きてほしかった。97歳まで生きるって言っていたから安心してしまっていた。ちゃんとあなたの健康状態をみてあげていなかった。カッコばっかりで、あなたに心から寄り添っていなかった。日陰の関係だったから、恋人や家族のように優しく接してあげられなかった。

 

あなたのいない世界はもう何も喜びがないの。

子どもが立派な社会人になっても、孫ができても、ペットを飼っても、愛するパートナーのいない人生は心に穴があいて寂しいばかり。そんなこともわからなかった。私は何もかも得ることができたと思っていた。でもあなたを失って何もかもが崩れてしまった。いちばん大切な人はあなただった。生まれてきた喜びはあなただった。かけがえのない、唯一無二の人だったのに、私は自分のエゴを優先しあなたを失ってしまった。

 

今さら気付いてもしょうがないの。あなたの命も肉体ももう戻ってこない。この世でもあの世でももう会うことはできない。もう一度あなたと私として生まれ変わって、もう一度出会えたら、もうこんな過ちはしない。私ももっと自分を知って、無理をせずに生きて、あなたを今度こそ幸せにしたい。2人で幸せになりたい。やり直したい。もう一度あなたと会いたい。タイムマシンがほしい。こんな私は狂気だね。あなたとまた会える証拠なんてどこにもなくて、死後の世界のことは誰にもわからなくて、絶望してしまうのです。