続々・ピエトロ・メンネア選手の走り ~二軸走法の教科書~ | 中讃ミドルクラブログ

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陸上は楽しくありたい!が原則で,それでも本気で世界一のアスリート育成を目指す,うどん県骨付鶏市を拠点に活動中!陸上クラブの日常を書き綴ります。

どんどん盛り上がっています(私だけが)。
では続きです。
さて,メンネア選手の100mのベストは10秒01すなわち桐生選手と同じです。
しかし,200mは19秒72,圧倒的な記録です。
単純に考えれば,後半の100mを9秒71で走ったことになります。
200mの前半はコーナー走ですから,スピードはそんなに高まりません。
とすれば,前半は10秒2~3はかかったことでしょう。
そう考えると後半の100mを9秒中盤で走ったことになります。
驚異的です。
しかも,そんなに大きくない選手,筋肉も多くない選手がです。
これがボルト選手なら誰しも納得するでしょう。
何しろ196cmでなおかつ長脚ですから。
でもそうでないのにメンネア選手は速かった。
なぜ? 
実際,モスクワオリンピックの映像を見ても前半は結構もたもたしていて,100mの金メダリストのアラン・ウエルズ選手に後れを取っていました。
でも直線に入る頃からぐんぐんスピードを上げ,一気に抜き去りました。
ゴール前はうれしさのあまり両手を挙げてゴールしたために,差をつめられましたが,後半落ちたわけではありません。

さあ,いよいよ本論です。
なぜ彼がそんなに速かったのか,その答えは「二軸走法」で走っていたからです。
じゃあ,今まで言わなかったのはなぜかと言いますと,彼の正面からの動画が見つからなかったからです。
ところが最近世界記録を出したときの正面からの動画をインターネットの動画サイトで見つけることができました。
見事な「二軸走法」でした。
200mの正面からの映像というのは本当に少ないのです。
しかし,この映像を見て,ますます「二軸走法」の長所を確信しました。
そして「二軸走法」の持つ長所をそのままきっちりと示してくれているのが,メンネア選手の走りでした。
つまり,筋肉を使わないから後半スピードが落ちない(他の選手は落ちるので相対的に後半加速しているように見える),また,筋肉の力で走っているわけではないので体に負担をかけないため,選手寿命が長くなる,筋肉が必要ないため,当然体重も軽いままでいいため,膝や筋肉にかかる負担が小さくてすみ,結局息が長くなり,複数種目にも出られ,しかも怪我が少ない,まさにいいことづくめです。

みなさんもパソコンを持っていたら確認してみて下さい。
きっちりと二軸で走っています。しかもいわゆる「足だけ二軸(X脚の選手に見られる走り)」ではなく,上体が接地足の上にかぶっていく上体ゆらゆらがはっきりと見て取れます。
これこそが彼の速さの秘密なのです。
だからちょっと見の印象では,上半身がヒョコヒョコと左右に小刻みに揺れているように見えます。
これが重心移動がきちんとできていることの証しなのです。
これと似た動きをしていたのが,みなさんに見せた高校時代の桐生選手や神保選手です。
土居選手も近かったです。

その上,まだ彼には優れた点がありました。
今までは二軸の前方向から確認できることを書きましたが,横から見ても彼の走りは大変優れています。
それは足首のキックを使っていないのです。
足首でキックするためには,ふくらはぎの腓腹筋を使いますが,この筋肉はそれほど大きくありません。
ですからここに負担をかけると筋肉は疲れます。
しかしメンネア選手はほとんど足首の角度を変えていません。
ということはキックしていないのです。
キックしなくても走れる?
普通はそう思うでしょう。
走れます。
一旦トップスピードに乗った後は。だから後半落ちないんです。
逆に言えば,彼は常にあまり足首のキックを使っていなかったんでしょう。
それが前半のモタモタの秘密でもあります。
でもそんなことはどうでもいいんです。
大切なことはゴールラインを先頭で駆け抜けることなのですから。
そして彼はそれを現実のものにした。
素晴らしいフォームと長い年月をかけて。
これがみなさんに見習ってほしいメンネア選手の秘密だったのです。
わかりましたか?
わかったら早速実行あるのみです。

それでは,また!!