アロマハンドケアで「水が流れている」と喜ばれたその方は、突然涙をこぼされました。そして言われた言葉は、「僕は主役になりたいんです。」でした。

 

 ぽろぽろとこぼれた言葉を拾ってみると、こんな気持ちを伝えておられました。

 

 身体が不自由になってから、みんなが自分を叱る。

 「こうしなさい」、「ああしてはいけない」と命令する。

 僕は、いつも横に追いやられている。

 (他人に思い通りにさせられる人生なんて嫌だ)

 「僕は主役になりたいんです。」

 

 もちろん誰もが、この方の病状の改善を願って、叱咤激励したり、最適と思われることを勧めたりしていたはずなのですが、ご本人には、自分の意思を尊重してもらえていないと感ずることが多かったのかも知れません。

 思うように自分の身体を動かすことができなくなり、あらゆる基本的な生活動作に他人の手を借りなければならなくなって来た時、もう自分で自分の人生を生きられないと感じられたのかも知れません。終わった、と思っておられたのかも知れません。

 

 でも、心の中には、他人の判断ではなく、自分で自分の人生を生きたいという強い思いが消えることなく残っていたのでしょうか。

 「水が流れる」とともに、堰が切れたようにあふれてきた「主役に戻りたい」という願い。

  自分の人生の主人公として胸をはって生きるために、何を、どうすればいいのだろう、ずっと考えています。