リトルガーデンの福祉アロマの活動の一つに、高齢者住宅での

サークル活動があります。こちらの施設では、入居者さまの施設での生活を彩るものとして、さまざまなサークル活動の場を提供しておられ、私も月1回アロマ倶楽部として担当させていただいています。

 参加される方はさまざまで、手仕事のお好きな方々、おしゃべりだけなら参加と言われる方、お体の状態で他の方と同じにはできない方もおられます。どなたでも楽しく過ごしていただけるように、

簡単なレク(手仕事、色塗りなど)と懐かしい音楽、写真集、お茶会など、つまりは何でもありのサークルになっていきました。もちろんアロマ倶楽部ですから、アロマランプの灯りと優しい香りがベースになっています。ご希望の方にはアロマハンドケアをさせていただいています。

 

  その方は、パーキンソン病で、左手を除いて身体が自由に動かない状態の男性です。右手はかたく曲がり、発語も明瞭ではなく、移動は車椅子です。左手も自由には動きません。医師からは、徐々に左手も動かなくなってくるだろうと言われているそうです。

 その日は、水で塗る塗り絵をして、お茶とお菓子をお出しした(飲食ともに介助でした)後、いつものようにハンドケアをさせていただきました。拘縮している右手は、嫌がられるので痛くないように軽く触れる程度、左手はいつものように優しいタッチのケアを行いました。

 しばらくしてその方が私を呼ばれ、「せんせい、水が流れているんです。」と、おっしゃいました。「え、水?どこに?」。言われていることが理解できずに聞き返した私に、「左手です。水が流れて頭のほうにまで行ってるんです」「腕が軽くて気持ちいいんです」「うれしいんです」

 これまで月1回のペースで6回くらいハンドケアをしてきましたが、このようなことを言われるのは今回が初めてでした。確かに先ほどまでお茶のカップも持てなかった左手が、柔らかく伸びているようでした。

 「うれしいんです」「それを言いたかったんです」と、言葉がぽろぽろとこぼれるにつれて、その方の目から涙がこぼれました。そしてとうとう、水は隠してきたであろう気持ちもあふれさせてしまったようでした。