筆者もそんなものに奮闘していた時期がありましたなあ。
結果は......まぁどの国立受けるにも不利にならないような点数でした。ずば抜けて良かったわけじゃなかったですね。
実際、適性試験で法律実務家としての「適性」が測れるのかというと、個人的にはちょっと肯定しづらいです。
問題次第で、40点は普通に違ってきますしね。。。
それはともかく、検討に移りましょう。
今日は正当防衛の急迫性の前半部分まで検討していきたいと思います。
第3. 検討
サトシの、R団のマシンを破壊し、これに伴う爆風によりR団を空の彼方へと吹き飛ばし、もって全治一週間の傷害を負わせた行為につき、いかなる罪が成立するか。
1. 構成要件該当性
(1) 器物損壊罪(261条)
サトシは、R団所有のマシンを破壊しているので、「他人の物を」「損壊し」たといえますね。
よって、かかるサトシの行為は器物損壊罪の構成要件に該当します。
(2) 殺人未遂罪(199、203条)
では、サトシのかかる行為について殺人未遂罪が成立しないでしょうか。
この点、サトシに殺意が認められるか問題となりますが、サトシはR団がマシンの爆風によって空の彼方へと吹き飛ぶことは経験則上明らか(毎回飛ばされてますからね)であるのにも関わらず、これを実行しています。
そして、爆風によって空の彼方へ吹き飛べば、通常の人間であれば即死は確実でしょう。もちろん、毎回のことR団は一命をとりとめていますが、それは偶然の事情にすぎません。
とすれば、サトシには少なくとも"R団なら死んでもいいや"という未必的な故意が存在していたと考えられます。
また、サトシがマシンを破壊し爆風でR団を吹き飛ばした時点で生命の法益が侵害される現実的危険性が認められますので、実行行為性も認めることができます。
そして、R団は運良く助かり、全治一週間の傷害を負うにとどまっているので(お分りのことと思いますが、一週間後の次回の放送で生傷が見受けられないからです)、実行に着手したもののこれを遂げなかったといえ、殺人未遂罪の構成要件に該当するといえます。
2. 違法性阻却事由(正当防衛・36条1項)
(1) 急迫性
ご存じの通り、正当防衛の成立には「急迫」不正の侵害であることが必要です。
では、R団のピカチュウ奪取行為は急迫性を有するのでしょうか?
この点、判例によれば、「急迫」とは法益の侵害が現に存在しているか、又は間近に押し迫っていることをいいます。
具体的には、①客観的急迫性、②主観的急迫性が認められれば「急迫」といえます。
さて、まず①としては、侵害の開始時期と終了時期を検討する必要があります。
防衛行為が侵害の開始より前だったり、侵害が終了した後だったりすると「急迫」とはいい難いからです。
本件において問題となるのは、侵害の終了時期の方でしょう。
というのも、サトシはいったんR団がピカチュウの奪取に成功して暫くした後に一連の取り戻し行為を行っているからです。
ここで、侵害の終了時期は、侵害が既に開始している以上緩やかに解すべきであるので、侵害を加えられるおそれが継続しているか否かによって判断されるべきであります。
これを本件についてみると、R団の行ったピカチュウ奪取行為は窃盗にしろ強盗にしろ詐欺にしろ、状態犯であることには変わりがありません。
状態犯とは、既遂後も違法状態は続くものの、新たに法益侵害を惹起することはない犯罪形態です。
つまり、サトシの取り戻し行為はR団のピカチュウ奪取行為の機会に行われない限り、侵害を加えられるおそれが継続している状態で行ったとはいえず、一度逃走されR団を見失った等の場合にはもはや「急迫」とはいえないということです。
これはまずい。非常にまずい。
というのも、アニメでのサトシは往々にしてR団にピカチュウを奪われた後、R団を見失っているのです......。
......今回はここまでにしておきましょう。
このまま違法性が阻却されず、サトシはジュンサーさんのお縄にかかってしまうのか。今後の展開に乞うご期待です!!!