ポスターには「アカデミー賞大本命!!」と書かれていますが、その通りにアカデミー賞最優秀作品賞を受賞しました。
憶えてらっしゃるでしょうか、あの前代未聞の「すいません間違えました」事件の年です。
「最優秀作品賞は... 『ラ・ラ・ランド』です!」
と言った後で、
「えらいすんません、『ムーンライト』でした」
なんで間違えるねん?
と、言うわけでこの作品が最優秀作品賞。
『ムーンライト』(2016年 / アメリカ映画)
監督・脚本:バリー・ジェンキンス
出演:アレックス・ヒバート、アシュトン・サンダース、トレヴァンテ・ローズ、ナオミ・ハリス
マイアミを舞台に、一人の黒人のアイデンティティの模索と成長を描くドラマ。
子供時代、思春期、そして成年期、3部構成で、3人の俳優がそれぞれの世代の主人公を演じています。
ポスターのビジュアルも3人の顔のコラージュです。
違う色の光を当てて肌の色が同じではない見せ方。
その主人公は、貧困地帯で暮らす内気な黒人少年シャロン。
ヤク中の母親は育児放棄で、学校に行けば「リトル(チビ)」と呼ばれていじめられていました。
理解者と言えば、近所に住むヤクの売人のあんちゃんと、唯一の男友達・ケビンだけ。
シャロンはケビンに対し、友情以上の何かを感じていました。
.....何か、とは「恋心」なのです。
はい、この映画はいわゆる "ゲイムービー"
貧困層という社会的弱者で、黒人というマイノリティの中のさらに同性愛というマイノリティ。
主人公には居場所がない。
高校生になってもシャロンに対するいじめは続き、母親のヤク中もドロ沼で、ついにクスリを買う為に身体を売ったりする日々....
絶望感に囚われたシャロンはある夜、ケビンの自宅近くのビーチに出かけ「海のバカヤロー!」
.....とかそんなん言いませんが、気配を察してやって来たケビンと月明かりの中で対面、心の内を吐き出します。
2人はキスを交わし、下半身をまさぐる....
(こんな描写、必要かね?)
しかし、相変わらず学校ではいじめが止まず、あのケビンまでが脅されて加担。
ここでまた絶望したシャロンはついに逆ギレして、いじめっ子グループのリーダーを椅子で殴打し、施設送りになってしまいます.....
やがて時が流れて青年になったシャロンは、別人のようにマッチョなコワモテの兄さんに変貌しており、ヤクを売り捌いて生活するイケイケになっていました。
そんなある日、
"あれから" 会っていないケビンから電話が....
外見イカツくなっても、心はあの頃の内気なまま。
それをごまかす為に鎧を身につけていたシャロン。
黒人、同性愛を盛り込まなくてもたぶん、成り立つテーマですが、それがなければアカデミー賞は無理だったでしょうね。
この作品を機に、アメリカだけでなく日本のテレビドラマでも、「こんなん、いちいちブッ込まなアカンのか?」と思うぐらいにLGBTネタが増えました。
群像劇になると必ず一人二人、性的マイノリティの登場人物がいます。
私的には、
リアリティがないので止めていただきたいのです。