聖飢魔IIがデビューしたのは1985年なんですが、そのデビューアルバムはメタル専門誌「BU●RN!」のアルバムレビューでなんと0点を付けられました。
この雑誌、なぜか創刊時から日本のヘビーメタルにはかなり厳しい立ち位置で、露骨にバカにしている空気。
それなら「当誌は洋楽専門誌です」と言ってりゃ良いのに、これではケンカ売ってるようなものです。
まぁ、ファンの間では「B●RRN!」のアルバムレビュー欄は昔からネタになっていて、この雑誌が絶賛したものは駄作、酷評すれば名盤と誰もが思ってましたから、バンドにとっては痛くも痒くもなかったかもしれません。
そして聖飢魔IIはデビュー翌年に早くも第二大教典(2ndアルバム)を発表。
『THE END OF THE CENTURY』(1986年)
かなり凝って作り込まれています。
ホラー映画のような不気味なオープニング。
デーモン小暮(当時)のモノローグからツインギターの正統ヘビーメタルへ流れ、早くも邪道だのキワモノだのの先入観は吹っ飛ぷ。
彼らのルックスを見て「KISSの亜種だろ」との声が少なくなかったのですが、それは見た目だけで、全く違うと思います。
このアルバムのオープニング曲は同じく当時のライブのオープニング。
棺桶の中から怪しい煙と共に登場するデーモン小暮、"人間界に降臨した悪魔" というコンセプトを徹底し、自ら「ミサ」と呼ぶ演劇的なステージで信者=ファンを煽ります。
ジーン・シモンズのように火を吹いたりもするんですが、こんなに細部まで演出に凝ってるバンドは他にないかも。
そのルックスがウケたのか、デーモン小暮は「夕焼けニャンニャン」などバラエティ番組にも出ていたので、正直言って私もデビュー当時は先入観持ってたクチなんですが、このバンド、楽曲そのものは正統派ブリティッシュ・ヘビーメタルの重厚さを守っており、ややアナクロながら確かな演奏技術を持っています。
つまり、皆さん上手いのです。
デーモン小暮も、歌が上手い!
こんなに伸びやかに高音域が歌えるボーカリストって、そうそういませんよ。
このアルバム、コンセプトを徹底しすぎたせいで、曲ごとのモノローグがいちいちウザいのですが(笑)日本のヘビーメタル系としては指折りの名盤です。