『怪物』(2023年)
監督:是枝裕和
脚本:坂元裕二
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子
音楽は坂本龍一です。
大きな湖のある郊外の町。
シングルマザーの安藤サクラは、小学生の息子が、自分で髪の毛を切るなど不可解な行動をする事に悩んでいました。
ある時、その息子から「先生から僕の脳は豚の脳と入れ替わっていると言われた」と涙ながらに告白された安藤サクラ、学校へ乗り込んで担任の永山瑛太に抗議します。
ところが、校長の田中裕子は「話、聞いてる?」と言いたくなるような態度。
後日、学校に呼ばれて謝罪を受けますが、担任は「誤解があって残念」と言い、校長も報告書を淡々と読み上げるだけ....
これは?
学校を舞台にしたトンデモ教師の話?
と思っていたら、さらにその数日後、担任は安藤サクラに、「息子さん、いじめやってますよ」
そしてある嵐の朝、息子が姿を消します。
この後、映画は担任・永山瑛太の視点に切り替わり、「あれ?」
公開中で今が旬の話題作ですのでネタバレは書きませんが、さらにこの後、子供たちを中心とした展開に変わり、さらにまた「あれ?」
1つの出来事を3者の視点から描く3部構成。
あの黒澤明『羅生門』のようです(少々違いますが)
それぞれに立場が違い、視点が変わると真実はわからない....
観客は物語の視点が変わる度に感情移入の修正を強いられます。
是枝作品ではあまりなかった手法で、いじめ問題なのか、子供社会を描いているのか、それとも? の全貌がわかるまでかなり時間がかかりますが、登場人物のほとんどが第一印象とは違う顔になり、同調圧力や事なかれ主義、生き辛い社会について語られる数々のセリフが説教臭くもなく刺さって来ます。
結局、「怪物」って何だったのか?
カンヌ国際映画祭で脚本賞に輝いた坂元裕二の脚本が素晴らしい。
ただ....
こんな映画にまでLGBTの問題をぶっ込む必要ありますかね?
申し訳ないですが、ここでシラケてしまった.... 完全に蛇足エピソードだと思いますが、もしかして賞狙い??
それならまんまと成功しました。