『ジャンヌ・ダーク』(1948年/アメリカ映画)
原題は Joan of Arc
日本公開のタイトルが『ジャンヌ・ダーク』です。
わずか19歳の若さで処刑された "オルレアンの乙女"ジャンヌ・ダルクを描いた作品で、1946年にニューヨークで上演されたマックスウェル・アンダーソンの舞台劇『ロレーヌのジャンヌ』の映画化です。
舞台でジャンヌを演じたイングリッド・バーグマンが主演し、監督は『風と共に去りぬ』のビクター・フレミング。
15世紀、イギリスとの百年戦争で疲弊していたフランス。
敗色濃厚の空気の中、小さな農村に生まれた信仰深い16歳の少女ジャンヌは、「兵を率いて祖国を勝利に導きなさい」という神の啓示を感じ、王太子に接見を求めて何度も訴えた末についに説得。
男装して自ら剣を取ってフランス軍の先頭に立ち、オルレアンを占拠していたイギリス軍を粉砕します。
そして王太子は国王の座に。
イギリス軍がフランス領内から出て行かない限り平和はないと、神を信じてさらに進軍するジャンヌでしたが、国王は裏切ってイギリスと停戦協定を結んでしまい、ジャンヌはイギリス軍に捕らえられて宗教裁判にかけられます.....
この映画、イングリッド・バーグマンがどうしても撮りたかった念願の題材で、当時のカネで製作費460万ドルをかけた超大作。
しかし....
カネかけりゃいいってモンじゃなくて、
甲冑に身を包んだバーグマンは凛々しいのですが、この時すでに33歳、"オルレアンの乙女" と呼ぶには少々無理があります。
なぜ田舎娘のジャンヌが軍を率いてフランスを解放するまでになったのか? が、「神のお告げ」というご都合主義で終わっていてドラマ性がないのです。
しかもバーグマンはロベルト・ロッセリーニ監督との不倫が発覚して人気急降下!の頃で、興行的にも散々。
上映時間2時間40分の大作ながら、リバイバル時には1時間近くバッサリとカットされていたようです。
この本は、ジャンヌ・ダルクの裁判の全記録。
古い文献の直訳ですのでかなり真面目な... いや、お堅い内容です。
ジャンヌ・ダルクが処刑されたのは1431年5月。
日本は室町時代、中国は明。
ジャンヌ・ダルクという人を主人公にした映画は何と100本以上あるそうですが、中世ヨーロッパの最大の謎の1つ.... 実は彼女が何者だったのかはよくわかっていません。
裁判記録は公式文献ですので、実在の人物であるのは間違いない。
でも、
生前の肖像画は1枚も存在せず、全て死後何十年も経過してから想像で描かれたものばかり。
なぜ地方の農村の娘が一国の皇太子を動かし、軍の先頭に立ってフランスを勝利に導く事ができたのか?
なぜ王太子は初見でジャンヌを信頼したのか?
かなり魅力ある女性だったんだろうな..... も想像です。