【妄想Zone】「よびすて」(Episode④) | ☆つっこのオモチャ箱☆

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つっこの「元気のモト」:Sexy Zone(佐藤勝利くん多め)、エンタメ、ドラマ…などを詰め込んだブログ♪セクゾ小説も書いてます

 

*【妄想Zone】は、毎回読み切りの超短編セクゾ小説です。


「もし、こんな恋愛ドラマをSexy Zoneのメンバーが演じたら…?」なんて思いながら書いてます♪

(佐藤勝利くん多め)

 

 

 

★今回の話はシリーズものです★

この話を「単独の読み切り」としてもお読みいただけます。

シリーズの過去作品は、最後に貼っておきます。

 

 

 

(設定)

 

・楠本花音は大学生。

 

・佐藤先輩とはいい雰囲気だけど、関係はハッキリしない。

 

 


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【よびすて】(Episode④)


「花音たちって、結局どうなってんの?」

美鈴は、『花音たち』のところでチラッと佐藤先輩に視線を向けた。


佐藤先輩は、ここからは話し声が聞こえないくらい離れたテーブルで、2年生同士で楽しげに笑いあっている。


サークル活動の後の飲み会は、いつものように1時間が過ぎる頃になると、あちこちで好き勝手に盛り上がっている。


私は座敷の隅で、『私と佐藤先輩の関係』について美鈴から尋問を受けているところだ。


「私も、よく分かんない…」

「だったら聞いてみれば?『佐藤先輩が私のことを誘ってくれたのって、特別な意味があるんですか?』…って。」


「そんなの無理!面倒くさいって避けられたらヤだし。それに…」

「それに?」


「なんか、先輩って私のことだけ名前で呼んでくれないんだよね…」

「そうだっけ?」


「そうだよ!」

私はウーロン茶の入ったグラスを手に取り、勢いよく喉に流し込んだ。



ここのサークルは、女子のことをファーストネームで呼ぶのが習慣らしく、私も先輩たちからは『花音』と呼び捨てにされ、1年生仲間からは『花音ちゃん』と呼ばれたりもしている。


佐藤先輩も、美鈴や他の女子のことは下の名前で呼んでるのに、私のことだけは名前で呼んでくれたことがない。


「えっ?じゃあ、花音は佐藤先輩になんて呼ばれてるの?」

美鈴が、ごく当たり前な質問をしてきた。


「聞いてくれる?さっき佐藤先輩に後ろから呼び止められた時だって、『ねえ、ちょっと…』だよ」


「ほんと?ウケる~」

美鈴は、遠慮なくケラケラと笑った。


「佐藤先輩って、逆に花音のことを意識して呼べないんじゃないの?だって昨日…」

美鈴は、唐突に昨日の話を始めた。



「昨日、花音は帰りに部室に来なかったじゃん?」

「あ~、4限が休講だったから先に帰ったけど」


「佐藤先輩は部室に来てたんだけど、集まったみんなで帰ろう…って時に、なんかわざとらしく私に訊いてきたんだよね」

「…なんて?」


「『あれ?金曜の4限上がりってこれだけ?他にいなかったっけ?』とか言っちゃって…」

そこで美鈴は、その時のことを思い出したように小さく笑ってから続けた。


「だから、『花音なら、4限が休講になったから帰りましたよ』って教えてあげたら、『べ…別に、そんなこと聞いてないし』とか言って焦ってんの~」


美鈴は佐藤先輩のモノマネをして言ったつもりだろうけど、そのクオリティは正直ビミョーだ…。


でも、美鈴の話に少しだけ勇気をもらえた気がした。


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飲み会の途中だけど、美鈴に私の分の立て替えを頼んで先に帰ることにした。

まだ電車はあるけれど、あまり遅くなると地元の駅から家までの帰り道が怖いからだ。


店の入り口に続く廊下を一人で歩いていると、見覚えのある女の人がすれ違い様に声をかけてきた。

 

「あれ?花音ちゃんじゃない?」


違います…と、とぼけたくなった。

なぜならこの人は、以前にやっかいな飲み会へ私を連れていった人だからだ。

 

「やっぱそうだ!ねえ、ウチらと一緒に飲もうよ~」

「いえ、もう帰るところなんで…」


「えー!いいじゃん。ちょっとだけ~」

 

すると、どこからか彼女の仲間もわらわらと集まってきた。


「なになに?」

「あ~、この子知ってるわ」

「ほら、あっちで一緒に飲も♪」


そう言って、誰かが私の腕を掴んだ。


数人に囲まれ、私は流されるように店の奥へと連れていかれそうになった。


すると、その時…



「おいっ!」

誰かが、人の輪を掻き分けて入ってきた。



「花音に触んなよ」


突然現れた佐藤先輩は、私の腕を掴んでいた誰かの手を強く払った。



「あ~、この前のドロボーさんだ!」

タチの悪い連中は、佐藤先輩を指差してゲラゲラと笑った。



「行こっ。駅まで送るから」

先輩は、連中の言葉を無視して、私の手を引いて店を出た。


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駅から近い店だったので、2~3分ほど歩くとすぐに駅の明かりが見えてきた。


私は、駅の手前で立ち止まり、佐藤先輩に向き直った。


「あの…すみませんでした」

「なんで謝んの?花音は悪くないじゃん」


「でも、先輩に何度も迷惑かけちゃって…」

「ほんと、花音は危なっかしいから目が離せないよ」


「すみません…」

「だから、謝んなくていいって。目が離せないっていうのは…オレがそばにいなきゃダメだな、って意味だからさ」


「……?」

私が先輩の言葉の意味を量りかねていると、先輩は改まって言った。



「あのさ…オレたち付き合おっか」



 

 

「えっ?…あ、はい」

なんだかよく分からないけど、私は佐藤先輩と付き合うことになった…らしい。


だけど、あまりに突然の展開で実感が湧かない。


むしろ、先輩が初めて私のことを『花音』と呼んでくれたことの方が今は嬉しかったりするんだけど…


でも、それを言うとまた名前を呼んでもらえなくなりそうだから、気づかないフリをすることにした。


(⇒「Episode」⑤へ続く)

 


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《これまでの話》

⇒ (「Episode」①)
⇒ (「Episode」②)

⇒ (「Episode」③)

 

 

 

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