*【妄想Zone】は、毎回読み切りの超短編小説です。
「もし、こんなドラマをSexy Zoneのメンバーが演じたら…?」なんて思いながら書いてます♪
今回はモチーフはなく、ふいに頭に浮かんだ物語です♪
寒い冬、胸キュンでほっこり温かくなっていただければ嬉しいです♡
(設定)
・佐藤勝利と大西マイは、高校のクラスメイト。
・2人はまだ、付き合い始めたばかり。
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【冬の帰り道】
「遅くなっちゃってゴメンね。これ、誕生日プレゼント。」
学校帰りに寄り道したスタバ。
私は、佐藤くんにおずおずとプレゼントを差し出した。
「…あ、手袋!ありがとう、マイ。」
マイ、という「よびすて」にまだ慣れず、なんだか耳がくすぐったい…。
佐藤くんは手触りを確かめるように、手袋をじっくりと眺めている。
(気に入ってくれたのかな?よかった…)
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店を出て駅に向かう頃には、街路樹のイルミネーションが輝きはじめていた。
ついこの間、ハロウィンが終わったばかりだと思ってたのに…。
佐藤くんと付き合いはじめて半月。
こうやって並んで歩くことには慣れたけど、2人の間にはまだ、手が触れそうで触れないビミョーな距離がある。
「なんかさ、今日寒くない?…あ、そうだ!手袋があったんだ!」
わざとらしくポンと手を打つ佐藤くん。
思わず私がクスっと笑うと、
「はい、これ。」
と言って、手袋を一つ私に渡してくれた。
佐藤くんは手袋を左手に。
私は右手に。
手袋をしていない、2人のそれぞれの手は…
「ほらっ、こうすればあったかい!」
佐藤くんは素早く私の左手を握ると、つないだ手を自分の上着のポケットに入れた。
「えっ!?ちょっと…なに?」
私は慌ててつながれた手を引き抜こうとしたけど、ポケットの中で強く握られた手はピクリともしない。
佐藤くんは、とぼけて口笛なんか吹いてる。
「もう~!佐藤くんったら…。」
私が手を引くのを諦めると、佐藤くんは手を握る力を少し緩めた。
その後、なんとなく2人とも無言で歩いていたけど、長い信号待ちに引っかかった時、佐藤くんが口を開いた。
「あのさ~、そろそろ『佐藤くん』じゃなくて、『勝利』って呼んでくんない?」
その横顔は、心なしか少し照れくさそうに見える。
(…なんて分析してる場合じゃない!
それって、私が佐藤くんを「よびすて」にするってこと!?)
「無理無理!そんなの急に無理っ!!」
私が全力で断ると、佐藤くんは少しイジワルな微笑みを浮かべながら言った。
「別にいいけど…。『勝利』って呼んでくれるまで、この手、放さないよ?」
(うそ~っ!?佐藤くんってこんなこと言うキャラだったの?)
「分かった…。言う!言いますっ!」
私は覚悟を決めて、大きく息を吸い込んだ。
「しょ、勝利…くん。」
最後の「くん」のところで、佐藤くんは吹きだした。
「なんだよ、それ~。」と言いながらも、目を細めて笑っている。
結局、「よびすて」は宿題になった。
「ちゃんと呼べるように頑張るから、もうちょっとだけ待ってて…ね?」
私がチラッと横目でお願いすると、佐藤くんは返事の代わりにポケットの中の私の手をギュっと握った。
(fin.)
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はい、以上です。
今回のお話。
これ一つでも成立してますが、実は以前に書いた「よびすて」という物語の続編でもあります。
(気づいてくれた人、いるかな?)
この2人が付き合うキッカケになった、シリーズ最初の話が書いてあるので、よかったらそちらも読んでみてください。↓
★そして、さらにこの「学園モノ」シリーズは続きます♪
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