時々考えるのですが、受験産業というのは不安産業なのだろうか…ということです。要するに、もっと~しないと合格しない、~クラスでないと合格しない、偏差値が~以上ないと合格しない…というようなことを並べ立てて、不安を煽る…そして、場合によってはそれを売り上げにつなげる…。

 

塾側の考えに沿ってみると、確かに、講座を受けなくていいですよ…と言うと、これはある意味で勉強量を減らす方向に作用すると言えます。また、不安から緊張感をもたらした方が、生徒も勉強するのではないか…ということも言えるでしょう。

 

実際、私自身、中学受験の時のことではないですが、高2の夏休みが終わって返却された業者模試の成績(ここで意識したのは校内順位のみで、偏差値その他は一切考えなかった)が想定以上に悪く、本当に重い腰を上げなければならない…と緊張感を持ったことを覚えています。そして、私は本当にダメな人間で、高3になって、ある程度成績を立て直したことを確認すると、また、気持ちが緩んでいったのでした。

 

ですが、個々人に対しての適切なプレッシャーは、塾の担当がやりとりすることで作れるようにも思います。不安を煽り立てる各塾の文言は枚挙に暇がなく、関東で小さな規模のところに属したときも、大手塾に通っている方が相談に来られて、~クラスでないと合格しない…と言われた…と沈んでおられるので、いえいえ、目標は志望校合格であって、クラスではないですよね…ということを伝え、教材なども見せていただきながら、合理的な勉強の方法をご提案していきました。結局、一部フォロウする形で私が属するところを併用していただき、きちんと志望校に合格されました。(実際には、私は課題などを、バッサリ切り落としたのですが…。)

 

不安産業ではなく、安心産業にしたいと思います。産業というと何か無機的ですが、生徒さんや保護者との関わりの中で、やるべきことをやりなさいと迫る部分、成績としてこのくらいを目標としなさい…という提示、そういったことはやりながらも、根底で安心して受験に迎えるような態勢作りをしたいと思っています。