前回からの続きです。

 

とはいえ…学年が異なると、色んな意味で、条件は異なるはずだ…という理論も成り立ちます。その模試を受験している母集団の成績も、年度によって微妙に異なるはずですし、また、学校側の状況として、定員を微妙に変化させたり、入試日程を少し動かしたりすると、これらは大きな影響をもたらすことになります。さらには、最近あった例では、特に2022年が顕著でしたが、新型コロナのようなパンデミックが影響を与えることもあります。

 

年度ごとのばらつきがあったり、もしくは、年度を追うごとにある方向に変化していたりということがあるとすればそのトレンド、これらは、複数年度にわたってかなり細かく数値を見ている担当でないと肌感覚は分からない…ということになります。まあ、大手塾の場合は、年度による母集団の極端な成績のばらつきはないとは思いますが、それでも、最上位校になってくると、ある程度、当該学年の、相応の成績帯の生徒の強さのようなものをしっかり実感していることが生徒の合否の見極めには必要になります。

 

最上位校であっても、合否状況と標準的な模試の成績との相関はある程度強く出るものです。でも、これは、正確に申せばあくまで相関がある程度出ている…ということであって、その模試が要求しているものと、本番の得点で要求されるものが極めて似ている…ということではありません。なので、時々、模試の数値はそれほどよくないのだけれども、結構本番では余裕の得点で合格していく…というケースもあります。

しかし、一方で、入試はもう一度やると、3割ぐらい合格者が入れ替わる…という話しも聞きます。実際に行うことは不可能ですが、冠模試が接近して2回実施されたときの、例えば合格判定をもらった生徒たちがどれほど一致しているか…というところで、ある程度イメージすることは出来るでしょう。

 

ひどい表現をお許しいただければ、ある程度は運の要素もある…ということにはなります。そのための綿密な併願作戦…ということになります。逆に、第1志望校に確実に合格するためには、模試の回が異なっても常に合格判定なされるような安定した実力をつけていく必要がある…ということにもなります。ただ、これは、求めだしたら切りがない…というところもあるので、どこかで腹をくくるスタンスが保護者側には必要になるのですが。