最近の中学受験において、特に上位校を目指そうとすると、どうしても先取り学習になってしまう部分があります。どの科目もそうだと思いますが、私は担当が算数なので算数のことで申せば、およそ、公立小学校の6年で習う内容とはかけ離れた高度な発想を色々と知っておかないと、上位校入試算数において、あの短い時間であれだけの難問を6~7割解くということは至難の業であると思います。

 

ただ、何でも先取りで良いのか…というと、中々判断が難しいところもあります。

一つのポイントは、個々の生徒はひとり一人異なる…というところです。これがまさに個性なのですが、どうしても、塾というのは、全教科を揃えてクラスに合わせたレベル設定をしてしまう…というところがあります。これは、確かに、入試が総合点で決まる…という現実があるので、余りに科目間では偏らないで欲しい…という意味では合理性もなくはないのですが、よくあるのは、算数は物足りないが、国語は逆についていきづらい状況にある…というようなケースです。さらに、同じ科目でも、単元によって理解度も異なります。(科目バランスを問いすぎるというのは、まさに公立高校受験のイメージに近く、私立の中高6カ年一貫校が目指す方向ではないと思うのです。)

 

ただ、それでも、学校進度を基準と考えすぎなくてもいい…ということも言えます。即ち、うまく導入し、適切な練習をすれば、学校進度よりも速く進むことが出来る…という点があることは否定できません。特に理数系の科目においてはその傾向が強いです。逆に、国語など生活経験も関係してくるような部分においては、極端な先取りは不可能に近いというところもあります。

 

これらの点を踏まえて、先取りの意義をお考えいただければ…と思います。そして、個人的には、特に飛び級までする必要はないと思っています。(私はこのことに平成になった頃に気付きましたが、どうしても塾は営利目的の部分があるので、そのことを余り前面に出さないところがあります。先取りは飛び級と同じではないか…と思われるでしょうが、確かに最初はそうと言えなくもないのですが、最後に問題があります。と申しますか、塾における本来の設定学年よりさらに1学年以上早く進むが故の構造的欠陥があるのです。詳細はここでは割愛いたしますが、担当の方々には、面談や保護者会では詳しく申し上げております。)