3からの続きです。(前回分をご覧になる方は、表題上右側の、 次ページ を押して下さい。)

 

確かに、一部の生徒にあることとして、一般的な模試では少し数値上苦しいように見えても、志望校入試問題に近い問題群では、ある程度戦える力量を持っている生徒がいることは事実です。集合授業塾においては、この見識が非常に重要で、単純に成績数値だけではなく、主観的な所見なども含めて生徒を志望校別特訓に引っ張る…ということをやるわけです。私は、色々な大手塾において、若いときから、このことには真剣に取り組んでいました。少し前にSNSでつながった方にも、あのときに先生に志望してみないか…と言われた御陰で今の人生がある…等と言われると、リップサービスと分かっていても、でも、そういう要素はゼロではないのだなあ…と思うわけです。合格体験記にも、あのときに言われなければ自分は~中学校を受けることはなかった…というような表現は今までに何度も書かれました。

 

(こういう生徒を見抜く感性、そして、問題傾向を把握し、予想問題を的中させる感性、このあたりが、塾人としては非常に重要なものになります。)

 

話しが逸れてしまいましたが、一般模試の成績だけで全てが言い尽くせるわけではありません。しかし、同時に、模試の成績と合否状況の相関もある程度強く出ている…ということも否定できない事実なのです。

 

さらには、個別指導の塾の担当者には、相応のノルマも課されています。コマ数を取るようにお勧めすることが半ば強要される…これも否定できないところがあります。これは、今まで多くの関係者(実際に組織の中にいて、そのように言われて苦しかった…という人も含めて)から話を聞いています。

 

私も、個別指導の方がある意味でやりやすいところもある…と思ったりするのですが、やはり、集団授業の塾で、生徒に鍛えてもらう要素には代えがたいものがあります。先日も、授業においてよかれと思って説明したら、もっと鋭い方法を生徒にスッと言われて、確かにごもっとも、賢いやり方です…と即座に認めて生徒たちにそのように伝えたことがありました。あるいは、集合授業の塾には、他の優れたスタッフもいるわけで、そういうスタッフ間での刺激…というのもあります。私が、関東にいたときなど、小さい規模のところに関わっていたときに一番恐れていたことは、自分の力量が衰えているのではないか…ということでした。なので、偶然、小さいところに移ったときに、本の執筆の話しが入ると、自分の力量を落とさないために…ということもあって、その負荷を掛けるようにしたのでした。(勿論、そのときの責任者に許可などはもらった上でのことでしたが。しかも、当時は、本来の仕事と競合しないように、概ね午前1~4時を充てていました。先日もそういうお声掛けをいただきましたが、今は再び大手のところに関わっているので、うまくお応えできない苦しい状況である…ということを申し上げてお断りしたこともあります。)

 

色々な話題に派生しましたが、中学受験塾を取り巻く事情をつかんでいただける一助になれば…と思います。