(※私は無宗教です)

 ずっと苦労してきた父が癌で他界した。特に亡くなる前は大変だった。

 どうせ亡くなるのなら、あの苦労は何の意味があったのか、不要だったんじゃないか。人はいずれ死ぬのに何のために毎日一生懸命生きるのか。父が可哀想で不憫で頭の中をグルグル回っていた。

 半年ほど経った頃、頭の中に父が話しかけてくれた。「この世で一生懸命泥臭く頑張って生ききった人はこっちに来れるんだよ。」

 そうなんだ。頭のグルグルは止まった。その日から生きる事の意味に疑問を持たず、一つ一つを丁寧に生きようと思った。