「行ってきます。」

 

 

今日も写真の母に一声かけ、7:30に家を出て学校に向かう

 

 

中1の時に母が死んでから毎日続けているルーティンのようなものだ

 

 

父は仕事でほとんど朝会うことはないし、夜もあまりいない

 

 

近くに住んでいるばあちゃんの家にも頼りつつ俺は高2の春を迎えた

 

 

自転車に乗りながらマンションが立ち並ぶ通りを抜けていく

 

 

途中の道路を歩く同じだが真新しい制服は1年生だろうか。

 

 

1年の春なんぞ入学できたことへの嬉しさと高校生活への期待の豪華二本立てが心を埋め尽くしている時期だろう

 

 

ま、そんな気持ち俺にはなかったが

 

 

 

昔からよく言うと冷静沈着、悪く言えば冷めていると言われてきた

 

 

 

母が亡くなってからその性格は加速したように思えた

 

 

 

17歳、人生の中で1番楽しいとも言われている時期を迎えても変わることはなかった

 

 

 

 

ビル街を通り抜け、首都の中では少し郊外にある学校の門をくぐっていく

 

 

 

”都立首都南高等学校”

 

 

 

 

そこそこ偏差値の高い進学高校として地元では有名で、この高校を目指すために大勢の中学生が塾に通い受験突破を目指している

 

 

 

俺はばあちゃんに小さいころからこの高校を目指せと言われてきた

 

 

 

そのため必死に勉強して、勉強だけをして中学生活を送ってここの生徒になった

 

 

 

数少ない肉親であるばあちゃんに愛想つかされたくないという気持ちが今考えれば大きかったのだろうと思う

 

 

 

 

指定された場所に自転車を置き、昇降口にむかって歩く

 

 

 

すると突然耳元で囁かれ、悪寒が走り、自分の唯一の特徴である黒眼鏡がずれた

 

 

 

 

「一之瀬 陵くん、君は2年7組、今年も一緒ですね」

 

 

 

 

肩をたたかれながら、学生が春に言われたくない言葉NO1であろう”他人にクラスを先に言われる”を華麗にやられ心に若干のモヤモヤを抱えながら振り向いた

 

 

 

 

 

「亜樹、、、、、うるさい」