亮二は下田達を送り出した後、三木の会社のポートフォリオを鞄に詰めるとビルを出た。 戸口の手前のエントランスで、二人のサラリーマンがすっと近づいてきた。


「森さんのご関係の方ですか。」
 亮二の方から声を掛けた。
「はい。 ご一緒させていただきます。 私、田口と申します。 こちらが林です。」
 田口は声を掛けられ仕方なそうに自己紹介した。


「これから重要な商談に行きます。 相手企業名が知られただけでも株価が動きかねない極秘の商談なのですが。」
「ご心配には及びません。 我々は絶対口外しませんし、そう言うことには全く疎いですから。」
 丁寧だが後に引く気は無いと言う断定的な言い方だった。 亮二は肩を竦め、諦めて三人連れで行くことにした。


 のんびりと赤坂見附まで歩き、丸の内線で新宿に出る積もりだった。 一人で行くよりは気が紛れるかと思い直した。
「その後、事件は解決に向かっているんですか?」
 亮二は田口と言う四角い顔をした警官に水を向けてみた。
「我々は捜査には加わっていないので、判りません。」
  四角い顔にお似合いの予想通りの回答だ。


「森さんから何か聞いてみえませんか。」
「いえ、管理監からは何も。 ただ、坂本さんに何かあっては大変だから、慎重に警護しろと。」

「いつも警護の仕事をしてみえるんですか。」
 亮二は事件の糸口を掴むことは諦め、雑談で時間を潰すことにした。
「普段の主な任務は調査です。 4月まで警護課に居ましたから、今回命令を受けたんだと思います。 本来なら、SAPが露払いしないと完全な警護は出来ないのですが。」
 田口は雑談には向かないタイプらしい事が判り、亮二は景色に目をやった。

新宿駅を西口から出て、大型家電店の前を過ぎて数分歩いた。 真新しいタイル張りのビルの正面玄関に入る。 
「さすがにここで襲われると言うこともないでしょうし、本当に重要な話し合いなので、同席していただくわけにもいきません。 こちらでお待ちいただくか、それともケータイ番号をお教えいただければ、出るときに連絡しますので、何処に行かれても構わないと思いますが」
 出来ればどこかに行って欲しいと願いを込めて亮二は田口に提案した。


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