「その人物は、水曜の夜に店を出たナオを新宿まで送ったと言うタクシーの運転手です。 私としても記憶を無くしていたと言うことが引っかかって、調べに掛かって、お会いしたのですが、どうにも引っかかる所がありました。 素人の私一人ではどうすることも出来なかったのですが、どうも当日のことを覚えすぎていたんです。」
「と、言いますと。」
「素人の勘なので当てにはならないと思いますが。 ナオが乗ったときの様子とかすぐに答えられました。 何度も乗せてはいたようなので当然なのかも知れませんが。 それと、
私が質問を切り上げて帰ろうとした一瞬ですが、ほっとしたような表情を見せたんです。 勘ぐり過ぎかも知れませんが。」
「いえ。 三木さんの勘なら下手な刑事の調書より信用できます。 当日の奥様の足取りを探るにはそこから始めるしかありませんし。 我々もこの人物に会うことから始めましょう。 ところで、先程この運転手が店から新宿まで奥様を送られたと言われましたが、奥様の家は新宿にあったんですか。」
「さすが、良くそんなことまで聞いていらっしゃいますね。 ナオの住んでいたアパートは桜上水にありました。 月曜には引っ越してしまいましたが。 ああいう商売ですからタクシーの運転手にもアパートを知られたくなかったために、直接アパートまで行かずに、いつも一旦新宿で降りてタクシーを乗り換えていたそうです。」
「なるほど、大切な用心だ。 頭のいい方のようですね、奥様は。 誰しも記憶が無い時間が有るというのはとても不安な事です。 その事については調査の進展でどうしても奥様に確認しなくてはならない事が出てきた時だけお伺いする事にします。 その場合でも予め質問内容を三木さんにお話します。 それでよろしいでしょうか。」
「そうしていただけるとありがたいです。 我が儘を言って申し訳有りません。」
「奥様は参考人でさえないんですから当然のことです。 ところで、外務大臣の事で2,3奥様に質問したいことがあるのですが、よろしいでしょうか。」
「結構です。 私はいない方がいいですね。」
「ええ、三木さんに隠すような事は有りませんが、その方がありがたいと思います。」
三木と入れ違いにナオは森達へのコーヒーを乗せた盆を持って現れた。 清楚な白いスタンドカラーのワンピースがよく映えている。 優雅な仕草で森達にコーヒーを勧めた。
「恐縮です。 私は警視庁の森と言います。 こちらは同じく榊原です。」
森は立ち上がってナオに挨拶した。
「よろしくお願いします。 どうぞ、お掛け下さい。」
ナオは優美な微笑みを湛えて言った。
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(壊れていたので直しました。)
☆ 愛故に自ら奴隷となった美少女の官能小説も書いています。
尚、18歳未満の方は決して読まないで下さい。 「アンドロメダな朝」を最初から読む。