「どう言うことだ。 大臣は一旦帰るために2階まで降りて、それからここにわざわざ殺されるために舞い戻ったと言うのか?」
「今現在得られた証言からは、そう言うことになります。」  
若い刑事は困ったような顔で答えた。


「この部屋は誰か特定の女の子の部屋なのか。」
「いえ、それはまだ聞いてません。」
若い刑事は頭を掻いた。 視線を森から外して辺りを見渡した。


「ぱっと見てバスが乾いてるが、最近使われた後はありますか。」
  森は一人歩きだし、広いジャグジーの中で指紋を採取している科学捜査係員に声を掛けた。  
「一応指紋等を採取してますが、多分ここ2,3日は使っていないでしょう。 ここ、排水溝の中まで乾いてますからね。」
  小太りの係員は人なつっこい顔を森に向けた。


「大臣の指紋は出てますか。」
「判りませんね。 そもそも新しい指紋が殆ど出ていないので。 もちろん血痕も何処からも出てません。 カーペットにしゃがみ込んでいる飯田係長が全体を知ってますから、聞いてみて下さい。」
  係員はまたジャグジーの中を落としたコンタクトレンズを探すようにじっと見つめ始めた。


「すいません。 外事の森ですが、大臣の指紋は出てますか。」
「ああ、大臣の指紋と照合してないので判りませんが、掃除をされてからこの部屋は使われた跡がないんです。 綺麗な新しい指紋は全く出ていない。 やる気満々だったおっさんの指紋は皮脂が出ているから綺麗に出るもんですがね。 ここには殺されにだけ来たみたいですよ。 ベッドもソファも綺麗な物だ。 多分、掃除婦の指紋は出ても、女の子の指紋すら出ないでしょう。 普通ならもうとっくに調査を止めてますよ。 ただマルガイがマルガイですからね。 後から何か言われても嫌なんですからやってるだけで。 こういう店での調査は大抵難しいですよ。 指紋どころか髪の毛だって、精子だっていっぱい出てきますから。」 
 飯田は、顔を上げずに言った。 


「店長は署にでも連れて行かれているのか。 まだここにいるなら会いたいが。」
「まだ事務室に居るはずです。 課長が来るまで動かすなと言うことですから。」
 
 森と榊原は、一階に戻り、豪華な待合室の反対側にある事務室に向かった。 金を生み出すと所と生まない所の差は極めて明確に付けられていた。



☆ ↓ご褒美の1クリックをお願いします。

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
☆ 愛故に自ら奴隷となった美少女の官能小説も書いています。
18歳以上の方は是非お読み下さい。
「アンドロメダな朝」を最初から読む。