「あー、今度から

  自宅での訪問医療に行く○○です」

という、訪問医の言葉から面談が始まった

私は退室していたので、後から録音で確認。


この面談は時間にして3分ぐらい。

本当に顔合わせ、挨拶程度で終わった。

その間 父の声はあまり聞こえなかった




その後、看護師さんが気を効かせてくれた

「奥さんとこうやって会うのも

 久しぶりでしょう。

  少しのだけ2人でお話ししていてねー」



母は2日に1回の割合で 病院に来ていた

だけどいつもコロナ対策のため

自動ドア越しの面会。



1/7振りに 父と近くで会えたのだ。




「昨日 検査だったんでしょう。痛かった?」

     「いや、痛くはなかった」


「今はどっか痛いところ あるの?」

     「痛くはないけど 身体がだるい」


「あら、足だけじゃなくて

          手も浮腫んじゃって

     「……うん」

    (手をさすってあげたらしい)




「足もまだパンパンだねぇ」



すると父が急に言った





俺は先に逝ってるから

あんたはゆっくり来なさいよ




「え?なに?

 なに言ってるか わからなーい

 なにも聞こえないー」と返す母。

(少し涙声になっている)


父がちょっと笑った声が聞こえた




その後も父との会話は続くが 

だんだんと言葉が少なくなってくる。

疲れてきた様だ。

相槌しか聞こえなくなってきた

母は会話中 ずっと手を握るというか、

さすりながら話していたらしい。



「あらぁ、手繋いじゃって 仲良しねー」

看護師さんが戻ってくる。

「ははは…」軽くテレ笑いが聞こえる



「もう病室戻りますからねー」

    「ん」



じじ、じゃあね、

      また来るからね




最期の会話、最期の対面だった



私もこの日は 父に会うはずだったのに。

訪問医の言葉、態度に憤慨させられなかったら

会えるはずだったのに…。


こんな事になるんなら、

会っておけば良かった。