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望は千春の家にいた時とは全く違いだ。暗く沈んだ顔になってだ。
 その顔でだ。こう言ったのだった。
「僕の家族は僕が駄目だからね」
「駄目だから?」
「僕のことは邪魔だ、鬱陶しいって思ってるから」
「そういう人達なの」
「そうだよ。大事なのは自分達だけで」
 それぞれだというのだ。ただしそこにはだ。
 お互いの、夫婦間の愛情はなかった。つまり二人共完全なエゴイストであるというのだ。
「僕は罵られたことはあっても褒められたことなんて一度もないよ」
「それが希望の御家族なのね」
「そうなんだ。だから来ないでね」 
 俯き沈んだ顔になってだ。希望は話した。
「千春ちゃんにとってもよくないから」
「それじゃあ」
「家族なら誰でも大事だ、愛情があるなんて嘘なんだよ」
「よく言われることでも?」
「うん、嘘なんだよ」
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だ。俯いて話す希望だった。そのままで。
「愛情のない人もいるから」
「だから家族もなの」
「そう。そうした家族もあるんだよ」
「そしてその家族の人とは」
「できるだけ会いたくないよ」
 暗い顔でだ。その家を前にしてだ。希望は話した。
「だからもう家にはあまりいないんだ」
「そうなの」
「まあとにかくね」
 ここまで話してだ。そのうえでだった。
 希望は千春にだ。こう言ったのだった。
「今日はこれでね」
「うん、これでね」
「さようならだね」
 微笑んで言う千春だった。
「それじゃあまた明日ね」
「うん、明日ね」
 千春は今はだ。希望に手を振ってだ。