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第二百六十八章:迎撃と覚悟

夜になった・・・・・・雪が若干ではあるが降り出した。

「・・・こちらリンクス」

私は無線機で屋敷の方に居るフォックス伍長に連絡した。

『何だ?』

無線機越しに感情が込められていない声が返って来た。

「敵が来ました・・・300人。先頭の男は金の短髪で腰にカタナを2本差しています」


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『そいつが恐らく双剣のガラハだ』

やはりそうか・・・・・・

「その後ろを子分たちが付いて行きます。このまま行かせますか?」

『そうしろ。馬用の柵がある事で引き返すメンズ バッグ 楽天だろうが・・・最後尾の奴から狙ってくれ』

「了解」

「最後尾の奴等から狙う」

私は山犬に標的を伝えた。

「最後尾は・・・・本隊から離れているのは警戒している所ね」

山犬は双眼鏡を覗きながら私に伝えそのまま追った。

「驚いているね。何時の間に馬用の柵を作ったって言ってるわ・・・・・・・・」

「仕方ないよ。私たちの存在を知らないんだから」

彼等から言わせれば戦をした事も無い民達が何でこんな真似を?!と驚いているに違いない。

そして私たちがここに居る事も知らない。

ここから狙われている事も・・・・・・・・

彼等は何かを怒鳴った。

ここまでは聞こえないがある程度の予想は出来る。

やがて柵を越えて・・・・柵の隙間から矢が飛んで来て彼等を射る。

突然の攻撃に彼等は驚くも武器で叩き落とすなどしてみせた。

「見た目と違って多少は出来るようだね」

暗闇で飛んで来る矢を叩き落とすのは至難の技であるがそれをやってのけたのだから無能とは言い難い。

『野郎共!迂回しろ!!』

ガラハと思われる声が聞こえ馬の蹄音が別れた。

「・・・・・・・」

私は起爆スイッチを手にする。

奴等が通った道にはクレイモアが設置されているから最後尾の奴等を狙えるのだ。

「フォックス。奴等にクレイモアをくれてやっても良いですか?」

『良いだろう。奴等に鉄球をお見舞いしてやれ。歓迎の合図だ』

「了解」

私は山犬に観測を頼んだ。

「・・・もう少し」

山犬は最後尾の奴らとの距離を私に教え私はそれを待ち続ける。

「・・・今だよ」

私は起爆スイッチを押した。

数回ほど押さなくては完全に作動しない。

だから、何度も押す。

するとクレイモアが爆発し、悲鳴が夜の森林に木霊する。

何人かはやられたのか薄れ行く意識の中で最後の言葉を言って馬から落馬した・・・・・・

『な、何だ?!』

ガラハと思われる男の声が聞こえたが同時に銃声も聞こえた。

「観測を」

モーゼルkar98kのストックを肩に当て私は山犬に頼む。

狙いは肩を怪我した男だ。

何とか避けたと思える感じだがそれでも肩の半分が持って行かれたから早急に手当てをしないと死んでしまう。

しかし、誰も助けようとはしない。

それを男も解っている・・・それでも見捨てられたくない一心で仲間に追い付こうと馬に乗ろうとしていた。

「・・・距離300・・・風速4・・・湿度20%」

「・・・・・・・」

引き金に人差し指を掛けて狙いを定めると少しだけ力を入れた。

たったこれだけで1人の命を奪える・・・・だが、引き金はとても重い。

相手が後頭部から血と中身を噴き出して乗ろうとしていた馬から転げ落ちた。

酷くゆっくりとした動作に見えてしまう・・・・・・・・

引き金はとても軽い。

少し力を入れただけであんな眼に遭わせる事が出来るのだから。

だが、人の命を奪う事は許される事ではない・・・時にはやらなくてはならないし私はそれが任務である以上やるしかない。

これは私のあくまで偏見とも独断とも言える感情だがあの男はもう長くない。

だから・・・楽にしてやりたかった。

初めて狙撃した男が長時間あんな寒い場所で仲間の助けも来ずに待っていた場面が頭に浮かんで私は重ねて見てしまったのだ・・・・・・・・

こんな感情は要らない・・・こんな偽善的な感情は要らないのだ。

ただ敵だから殺してしまう。

それが兵士としては良い感情であろう。

それでも楽にしてやりたいと願う私の気持ちは・・・やはり偽善的で独断的な感情でしかない。

そう思いながらボルトを動かし弾を排出した。

『ちっ・・・回り込め!一気に懐へ入り白兵戦へ持ち込むんだ!!』

部下達に指示を出しながら敵は動き出した。

ここからが戦いである。

私たちは見張り台から降りて新たな場所へと向かった。
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俺は迂回した敵を見ながら無線機で連絡した。

「敵は散開し迂回した。各自敵を見たら撃て。ただし、双剣のガラハだけは殺すな。生け捕りにしろ」

殺すのは簡単だが生かすのは難しい。

だが・・・こいつらならやれると俺は思い無線で言ってみせた。

『了解』

無線越しに頼もしい返事が来て俺は笑みを浮かべながら無線を切った。

『さぁ尻の青い小僧。掛って来い。これからお前を少しずつ痛めつけてやる』

正確に言えば部下達を少しずつ減らして行き頃合いを見計らって奴等を中へ引き込む。

そしてティナと戦わせて仇を取らせるんだ。

それが終わればここでの仕事は終わり・・・リカルド王子を追う。

だから、もうマレートとは会わない。

戦いの最中だと言うのに俺は彼女の事を想ってしまった。

というのも昼の時だ。

マレート自身が来て俺に話し掛けて来たのが原因なんだよ。

俺が拒否したから自分で来たらしいが・・・・・・・・・

今にして思えば昔から行動力がある女だったと思い知らされる。

しかも大衆の面前で抱きついて来たから堪ったもんじゃないんだが・・・昔を思い出したのも否定できない。

つくづく自分は女々しい男だと思う。

だが、今は敵を倒すのが先決だ。

「ティナ・・・覚悟は良いな?」

俺は隣で武者震いしているティナに声を掛けた。

俺たちの戦い方もとい見た事も無い武器の威力に驚いているのだろう。

自分に不安を抱いている・・・とも取れるが敢えて言わない。

勝負前にそんな事を言えば実力は半分も出せないのは経験上から分かる。

相手は尻の青い餓鬼だが2つ名があるという事はそれなりに実力があると見て良い。

「勿論、よ・・・あたしが父上の仇を取るんだ・・・・この手で」

ティナは拳を握り締めて胸に当てた。

それで震える手を抑えようとしているが止まらない。

「・・・・ティナ。落ち着け」

俺は彼女の手を掴んだ。

「お前ならあいつを倒せる。二刀流だからって必ず強いという訳じゃないだろ?一刀流の極意は一刀万刀に変じ万刀一刀に帰す」

一刀に信念と生命をかける精神であれば一刀もまた万刀に値する。

これが一刀流の極意・・・一刀に信念と生命をかければ万刀に値するのならあんな尻の青い餓鬼に負けたりしない。

「大丈夫だ・・・俺が傍に居る」

こんな言葉を付き合っても居ない女にかけた所で無意味だろう。

それでも俺は声をかける事でティナの不安を取り除こうとした。

「ヘン・・・・・・」

初めて彼女が俺の名を呼ぶ。

「安心しろ。あんな奴にお前は負けない」

そんな確証も証拠も無い。

ただの気休めの言葉でしかない・・・言葉なんて戦場では無意味に等しい。

そうでない時もあるが・・・・・・・そうでない時に俺は対面した事がなかった。

それでも声をかけられずにはいられないのも・・・・性分なんだろうな。

他人が困っていたら助けてしまう。

特にそれが自分より年下で女ともなれば尚更だ。

お陰で背負わなくても良い苦労を背負う羽目になった事が数え切れない程あるが未だに直らないのも性分だからだろう。

死ぬまで直らないかもな。

そう思いながら俺はティナの拳を優しく撫でてやった。

するとティナの拳から震えが消えて行く。

「・・・ありがとう」

ティナが初めて俺に笑顔を見せた・・・儚い印象を受けたのは彼女が死を覚悟したからか?

それとも・・・・・・・・・・