「私帰りたくない!とかいうタイプじゃないもんな。

 じゃあ帰るね。」


昔、その言葉を残して去って行った男がいた。

めちゃくちゃタイプだった、めちゃくちゃ楽しかった、

私は本当に帰りたくなかった。

でも何も言えなかった。

普段甘えられ慣れている女は、甘え方を知らない。

そこに突っ立って、とぼとぼ帰った私がいた。

寂しかった。

その人が次に付き合ったのはベタベタ甘えたの女の子だった。←たぶんメンヘラだろ。負け惜しみやめろ。



そんなトラウマが頭の中に巡った。

今同じような場面が目の前にある。


私は数年前のままか?

成長期出来ずに地下鉄に乗るのか?


いや違う。

この数年で私には度胸が備わった。

33歳の女が勝負して何が悪い。


私「まだ飲みたい、、」

↑いやめっちゃ弱気やがな度胸どこいってん


28「家で飲む?俺は全然大丈夫やけど、

 もし明日早起きじゃなかったら。」


良かった。

自分の欲には正直になるべきだ。

男の人は、思っているより優しい。

私のしょーもないトラウマを一つ越えれた気がした。


コンビニで安いお酒を買って、適当な映画を流す。

懐かしい感覚。

彼のマンションは賃貸じゃなかった。

いわゆる民泊?みたいな感じで、

見た目は普通のマンションだけど、

掃除や備品の補充等も全部業者がやってくれるらしい。

とりあえず1ヶ月は借りれたけど、

値上がりしたら次を探さないといけないらしい。

別に固定の帰る家が必要じゃないから、と

話す彼はまさに異星人。

最近の若い子はそんな感じで生きてんだ、

といった小さな衝撃の中で楽しい時間が過ぎた。


借り物の彼シャツ、彼短パン、綺麗なシーツ

そこからはご想像通り。

そうだこれが私なんだ。







(こうゆう空白って色々と妄想が巡りますよね)

台無し。







「こんないい女だったんなら、書いといてよ。プロフィールに。笑」


冗談混じりの言葉に笑う。


人はみんな自己肯定したい。

自分の価値を提示されたい。

かわいい、綺麗、そんなこと不慣れな男に言われても

何の価値もない。((、、いやちょっとは嬉しい))

今まで色んな女を見て来た、知ってきた男から言われる

「いい女」ほど、満たされる言葉はない。

簡単な生き物だ。


満たされた感覚。

胸板最高。

台無し2


たぶん私がこの男と付き合う事はないだろう。

ブレーキ、右折、そんな感じだ。説明不足の極み


職場を持たない彼は、クリエイターに呼ばれたら明日にでも、東京にでも海外にでも行ってしまうだろう。

そんな人を好きになっちゃいけない。


「また会ってくれる?」

話が合う、体が合う、距離感を心得ているだけの年上の女に対して放たれたその言葉を

鵜呑みに好きになっちゃいけない。


度胸と共に備わった、悲しい秩序。


あったかく冷たいその時間をくれた彼に対しての感情は、

ただ、感謝だ。

ありがとう。

お陰で完全復活できたよ、私。


久しぶりに深い眠りにつけた。