SS 年末の初恋 | 刹那-the Everyday Messiah-

刹那-the Everyday Messiah-

紡がれた言葉が、刹那でも皆様の心に残れば……

「今年ももうすぐ終わりだね」
隣から朗らかな声がした。
「なんか、あっという間だったな」
「そうだねー」
鶴野実和(ツルノ ミワ)
小・中・高と同じ学校に通った幼馴染みだ。
「…………」
俺は森上祐樹(モリカミ ユウキ)
小学校の頃から、実和のことが好きだった。
所謂、初恋。
未だに好きな人が変わってないのは凄いことらしい。
別に、女子からの告白を片っ端から断っていたわけでは無いが、なんとなく他に気になる人がいなかっただけで。
あ、こんなこと言ったら、世の中の女性の反感買っちゃうかな?
「祐樹?祐樹ってば」
気がつくと、実和が俺の顔の前で手を振っていた。
「ごめん、気づかなかった」
「もう、すぐ自分の世界に入っちゃうんだから」
口調は怒っているようだったが、その顔はしょうがないなあと笑っているように見えた。
「もうすぐ神社だよ。ボーッとしてるとはぐれちゃうよ」
「あ、あぁ」
もうすぐ今年が終わり、また新しい1年が始まる。
除夜の鐘の音がだんだん大きくなってくる。
子連れの夫婦から俺達と同じ年代の人達まで、沢山の人が神社に向かって歩いている。
何組か、同年代のカップルが手を繋いで歩いているのを見て、俺は顔が赤くなるのを感じた。
思わず、そろそろと実和の手を探り、そっと握る。
「…祐樹?」
実和が不思議そうにこっちを見てくる。
「は、はぐれるといけないから」
あまりに恥ずかしくて、顔を反らしてしまった。
本当は、目を見て話したいんだが、男の変なプライドが邪魔している。
実和の手を握っている手は汗でぐっしょりで、少し情けなく感じた。
やっぱり止めようかと、手を緩めた時
「……ありがとう」
実和の方が握り返してきた。
しかも、少し体を俺の方に寄せてくる。
心臓が爆発しそうなほどに激しく打っている。
ゆっくりと俺達は鳥居をくぐり、お参りを済ませた。

「あと1分で2014年だよ!」
実和が興奮して言ってくる。
そわそわと時計を確認する姿があまりにいとおしくて。
「実和」
「んっ?」
振り向いた実和を、俺はギュッと抱き締めた。
実和が固くなるのが分かる。
「…好き。俺は実和が…好き」
掠れるような声で告白する。
人目は気にならなかった。
答えは聞こえなかったけど、実和が俺の背中に手を回したのが分かった。
誰かが日付が変わったことを伝えた。
俺達の2013年は、こうして終わったんだ。