夏の浜辺 46 | 刹那-the Everyday Messiah-

刹那-the Everyday Messiah-

紡がれた言葉が、刹那でも皆様の心に残れば……

場の空気が凍りつく。
綾瀬と池田さんが息を飲み、江岸は唖然としている。
俺は気づいてたら、岸本市長の頬を殴り飛ばしていた。
「…………っ!!」
市長は俺を射殺さんばかりの形相で睨んでくる。
普段なら恐くて身がすくむはずなのに、今は何も感じない。
あるのは、純粋に怒りだけだった。
「工藤くん…?」
江岸が恐る恐る声をかける。
俺は無視して、市長の胸ぐらを掴む。
市長も江岸も、俺が怒ってる理由が分からないみたいだった。
「んな……うで…」
「え…?」
怒りで声が掠れる。
息を吸い、叫ぶ。
「そんな理由で殺したのか!!」
信じられなかった。
私利私欲のために簡単に人を殺せる意味が。
もう江岸はただ一人の父親に会うことはできないのだ。
そんな過去があっても、江岸はニッコリと笑っていたのだ。

『あたしは…この町が好き』

そんなことを平然と言っていたのだ。

『工藤くんにも、この町を好きになってほしいな』

俺の相手をしながら、裏で市長を追い詰めるために画策していたのだ。
初めは、全く岸ノ巻に興味の無かった俺に、江岸は何を感じたのだろう。
そんなことを考えると、やるせなくなる。
同時に、殺人を犯して、平然と市長を名乗っている岸本に激しい怒りを覚える。
頭の奥で、過去の記憶が顔を出すのを感じたが、無理矢理抑える。
今は、岸本に罵声を浴びせることしか頭に無かった。
「あんたは自分のために人を殺したのかもしれない!別に終わったことを掘り返すつもりはない。…けどな」
腕を引き、市長を無理矢理引き寄せる。
市長の眼が初めて怯えているように見えた。
「家族は一人しかいないんだよ!!」
放心して倒れる市長。
江岸がじっと見つめてくる。
俺は肩で息をしながら、綾瀬が出ていくのをしっかり見た。

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柊作の怒りは遂に市長を打ち負かしましたねDASH!
もうすぐ江岸編クライマックス!!