手本を踊る先生をぼーっと見つめながら、私は危機感を感じていた。
身体がとてつもなく怠いのだ。
時計を見ると正午過ぎ。
レッスンはまだ折り返し地点だ。
昨日薬も飲まずに寝てしまったのは失敗だったかな、とぼんやり考えていると、
「てち!」
突然後ろから名前を呼ばれ私は驚いて振り返った。
ねるが、ちょいちょいと手招きをしている。
そういえばさっきお菓子くれるって言ってたな、と重い腰を上げてねるの元へと向かう。
「ん、」
後ろを向いて座れ、ということだろうか。
座ったままのねるは、床をポンポンと叩いて私に指示を促した。
言われるままにねるの前へと座ると、上からベンチコートが降ってきた。
「え?」
何が起こったのかと慌てて見上げると、どうやら犯人は愛佳のようだ。
「ぴっぴ、どうしたの?」
驚く私の声など聞こえていないかのように愛佳は私に次々とみんなのコートやらマフラーを羽織らせていく。
そして仕上げと言わんばかりに莉菜が手に持ったマフラーをブランケットのようにして羽織らせ、私の頭をぽん、と叩いて言った。
「おやすみ、てち」
「いや、私全然眠くないよ?」
状況が全く飲み込めない私にねるが再び後ろから抱きついて言った。
「隠しても無駄だよ?私達てちが体調悪いの知ってるから」
あ、バレてたか。
まさか、気づかれていた上にこんなに心配してくれるとは。
「…ありがとう」
「ん、今なんか言った?」
「え、ううん!なんでもない!」
私は声が出ていたことに気づき、恥ずかしさと発熱の所為で顔が赤くなるのを感じて、思わず後ろから回されているねるの腕に顔を埋めた。
そして、先程から気を張っていた所為か疲れがどっと押し寄せてきて一気に瞼が重くなるのを感じる。
少しだけ、そう思い私はどんどんと重くなる瞼を閉じて眠りについた。