「もう、本当に君たちは…」
中年過ぎの少しふくよかな医師が、頭を抱えるようにしてその穏やかな顔には似合わない溜め息を、深くついた。
こんなに感情を露わにする医師に、私は少し狼狽えた。
隣をちらりと見ると、友梨奈も眉を下げて申し訳なさそうに下を向いていた。
「怪我をしているのに、何でそんなに無茶するのかな。自主的に状態を悪化させた患者なんて君たち二人が初めてだよ」
「すみません、飛鳥が心配で」
「私も、友梨奈が…」
「はいはい、仲が良いことだけは分かりました。いいですか、数日間は絶対に安静にすること。分かりましたか?」
「「はい。」」
私たちをこっぴどく叱った医者が出ていったのを確認した後、私はふーっと大きな溜息をついた。
「…しばらく入院生活になりそうだね」
彼女もふぅ、とため息をついたが、何かを思い出したように目を輝かせてこちらを向いた。
「でもさ、たいして変わんないね。入院する前も飛鳥と暮らしてたわけだし。犯人も捕まってもう飛鳥と一緒にいられない、って思ったから私は寧ろ嬉しいよ。」
にこりと笑ってそう言う彼女に、私は初めて同居生活に終わりがあったことを思い出した。
友梨奈と、別々の生活。
正直考えたくないくらい嫌だった。
陽だまりのように暖かくて、心の支えである彼女と離れることなんて、今の私に出来るはずがない。
「…ねえ、友梨奈。退院してからも、私の家で暮らしてもいいんだよ?ていうか、私はこれからも一緒にいたい。」
言って、しまった…
恐る恐る隣を見やると、彼女は驚いているのか口をパクパクとさせていた。
彼女が初めて私の家に泊まりに来たあの日の朝と、同じ表情。
「いい、の?」
「うん、もちろん。」
「じゃあ…これからもよろしくお願いします。」
「あははっ、」
急に敬語になる彼女がなんだか可笑しくて、吹き出してしまった。
「なんで笑ったのー?飛鳥って、たまに笑いのツボ可笑しい時あるよね」
どうやら気づいていないようだ。
ぷくりと頬を膨らませて怒っている表情を作っている、らしい。
「そんなことないよ?こちらこそ、よろしくね」
「うん。」
そう言って彼女はぽふり、と頭を枕に戻し話し続ける。
「そういえばさ、お菓子作ってないよね」
「あ、材料買ってあるんだよね。フルーツタルト作ろうと思って友梨奈が昼寝してる間に買ってきたの」
「えー、まじか。早く食べたい」
「退院したら、ゆっくり二人で作ろうね。」
「うん、楽しみ。」
友梨奈とやりたいことなんて、まだ数え切れないほどある。
これから先、この子とならどんなことも乗り越えていける気がする。
ふと、窓の外を見ると雨上がりなのか空に立派な虹がかかっていた。
私はこれから広がる虹のように輝く未来に、七色の思いを馳せた。
了
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
飛鳥ちゃんとてちの絡みって絶対おもしろいと思うんですよね。笑
最終的にどっちがデレるんでしょう。
ザンビ、どこかでてちあす見れたりしないかなって期待してたんですけどね。
やっぱり忙しいか。
ちなみに不審者の男は乃木坂46バレッタのmvに出てくるような男をイメージしました!
バレッタ大好きです。
伊藤万理華ちゃんの演技がたまりません。
そういえば長編が一つ出来上がったんです!
リクエストしていただいたのも出したい…
もう少しチェックしてから出したいなーって思ってます!
それと春になるまで低浮上が続いてしまいます。
本当にすみません。
それでは。