よし。
鏡に映った自分の姿を確認し、私はすぅっと大きく息を吸った。
赤い帽子に、赤いワンピース。
バランスよく赤と白でまとめている。
それは、一年に一度現れるあの人を連想させた。
そして、時刻は0時を少し過ぎた頃。
あのおじいさんも今頃、プレゼントを届けるため、子どもたちの家を渡り歩いているのではないだろうか。
そんな事を考えながら、ガチャリと彼女の部屋のドアを合鍵で開けた。
案の定、部屋の中は真っ暗。
私と会う時間も無い程びっしりとしたスケジュールには、どうやら夜更かし好きの彼女でも敵わなかったらしい。
ベッドで眠る彼女の顔を伺う。
白い肌に、最近また短く切った髪がかかっているのを指で払った。
くすぐったそうに顔を顰める彼女が、とても愛おしい。
痩せたのでは、と思わせる少しシャープになった輪郭を満足するまで撫でた後、私はするりと彼女の横へと潜り込む。
「なに」
寝入ったばかりなのか、私が毛布に片足を入れたところで彼女は口を開いた。
「なにって…今日は何の日だ?」
寝込みを邪魔され、あまり良い気分では無いようだ。
眉間に皺を寄せううぅと唸りながら彼女はボーッとする頭で思考を巡らせていた。
「今日?誰かの誕生日、だっけ?」
彼女は吐息混じりに言った。
「全く。てちの世間知らずはいつまで経ってん変わらんね。クリスマス、でしょう。」
横たわって、てちの頬を両手で挟み無理やりこちらへ向けて私の格好を確認させる。
「かわいいじゃん」
ふふ、と微笑んで彼女は言った。
大満足、だ。
「ありがとう」
自分で見せておいて、なんだか照れ臭くなった私は小さくお礼を言った。
「でも私、プレゼント頼んで無いよ?」
「ううん。私が貰いに来たの。」
「は?だってそれサンタさんの格好じゃん。」
彼女は私の服装を指差して不思議そうに言った。
「ばってん一年間頑張ったけんプレゼントくれん?」
そう言って、彼女の頬に当てた手をグイッと私の顔へと近づける。
こんなに近くで見つめ合うのは、いつ振りだろうか。
「え、えぇ」
珍しくオロオロと困惑する彼女。
それでも抵抗しないのは、甘え下手である彼女なりの精一杯のOKなのだという事を私だけが、知っている。
了
クリスマスに間に合いませんでした!!!
てちねるです (^^)
ねるは、場面場面で標準語と長崎弁使い分けてそうな感じがすごく好きです、可愛い、、
最近いちゃいちゃしてるところ見てないですねえ、てちねるが恋しいです。
てちは、もっと恋しい。元気かなあ、、
そして、投稿に間が空いてしまいすみません。
またバタバタとしてしまい期間が空いてしまうかもしれませんが、更新は続けていきたいのでよかったらこれからもよろしくお願いします〜