ふらり。
不意にその細い身体が不安定に揺れて、そのまま私の視界から消えた。
状況が飲み込めないのは、幸せボケというやつだろうか。
声が上手く出ないし、腰を浮かすことも出来ない。
「大丈夫ですか!」
近くにいた医師達がてちの元へ駆け寄る。
「人が倒れたぞ」
近くにいた人の、その声で漸く我に返り、私はふらふらとてちの元へ駆け寄る。
「てち!!!」
舞い落ちた桜の上に横たわるてちは、ぴくりとも動かない。
今までに見たことがないくらい青白い顔。
何度呼んでも返事が返ってこない。
私が、外出なんて許可したから、、
私に見える光景全てが色褪せ、そして遠ざかる。
あんなにも色鮮やかだった桜が冬の枯れ木のようだと思ったのを最後に、私の意識は暗転した。