みんぽす/WillVii より無償貸与して頂き、書かれたレビューです。



セガ
忌火起草

PS3購入後,最初にプレイしたタイトルでありサウンドノベル初体験。

この作品は色々と初めてづくしが重なりました。


元々同ジャンルに抱いていたイメージは、かったるそうだなというものでした。

ゲームで読み物を体験する意味があるのか、小説読めばいいじゃんと、

プレイもせず上っ面でその程度の印象を持っていました。

ただ複雑なシナリオ分岐や様々なシナリオを楽しめるというという、

ゲームならではの要素には魅力を感じてはいました。。



まず僕がこの作品で最も特筆すべき点に挙げたいのが、「音」へのこだわり。

今回は新たにボイスが採用されており、テキストを読み進める合間に、

割と絶妙のタイミングで登場人物のセリフが入ってきます。

テキストから登場人物たちの心情を想像する良さというのは確かにあるけど、

「声」という人間の感情を最も直感的に知りえるであろう要素によって、

プレイヤーをより話にのめり込ませる一因になっているんではないかと。

弘樹が墜ちていく様やピンクルートなどは、声無しでは有り得ないね(笑)。


声だけではなく、様々な効果音ももちろん素晴らしい。

おどろおどろしい雰囲気を醸し出し、恐怖を煽り、時にはプレイヤーを笑かせる。

僕は最近購入した5000円程度のヘッドフォンを着けてプレイしましたけど、

テレビのスピーカーからとは比べ物にならない臨場感を味わえますよ。

5.1chの環境が整っていなくても、これだけは必須だと思います。

背後から聴こえる不気味な声,右から左へ流れていく声‥‥。

とりわけ、人物の位置関係によって声の聞こえ方が変わるのが凄い。

ちょっと遠い所に居ると小さく聴こえたり、耳元で囁かれるシーンでは

本当に背後に居るんではないかと疑ってしまうぐらいです。

(書いてて怖くなってきた‥)



シナリオについてですが、僕は一応全ルート制覇しました。


正直言えば、一週目(赤ルート)には不満たらたら。

散々怖がらせておいて、そんな終わり方って‥‥みたいな。


そんなモチベーションで他のルートを進めて行くと、

面白いぐらいシナリオが違っていて1作品でバラエティに

富んだシナリオを楽しめる事にこんなに魅力があるとは…と。

ネタバレになるので詳しくは書けないけど、本当に全然違う。

ふざけてるのかってぐらいw。

ちなみに僕は結構怖がりな人なので、誰もが怖いと感じるであろう要素が、

後にプレイするシナリオにつれて薄くなってくれて非常に嬉しかった(苦笑)。



1番好きなシナリオは最終シナリオですかね。

ジャパニーズホラーの要素が凝縮されているのがこのシナリオなんですよ。

この話は確かにプレイした誰もが1番怖くないと思うだろうけど、

そもそもジャパニーズホラーというのは単純な日本人的な怖さというより、

怖いけど切なかったり悲しかったり、そういう部分だと思っているので。

だから、「リング」より「リング0」の方がジャパニーズホラー然としてると思うし。

話逸れましたが、これまでの中で突っ掛かっていた部分が紐解かれるので、

真のエンディングに辿り着いた時の清清しさ‥‥これは是非堪能して頂きたい。


やっぱり触れておかなきゃいけないのがピンクシナリオでしょうか。

一時停止出来ないのが不満ですが、こういうバカバカしい事に

真剣に取り組んでいる作品というのは総じて、僕はかなり好きです。

笑えるし、中学生‥‥いや小学生レベルのエロが充満しているし、

素晴らしいB級の匂い。画面がピンクになるあの演出が好きだなぁ。

セガは次世代機で真剣にふざけてて良い。

龍が如くでも煩悩があるみたいだしw。


ちなみに、登場人物の中で1番好きなのは皆川香織。

もちろんゴスロリファッションが好きだからではありません(笑)。

シナリオによって全く扱いが違うんですよ。それはある意味、

弘樹がシナリオによって全然違うという事でもあります‥‥。

特に好きなのが茶色ルートでの屋敷での言動。恐怖ですw。



PS3ということで映像面にも触れておきましょう。

実写の映像は良かった。はっきり顔を見せないのも。

欲を言えば、リアルタイムに変化させて欲しい。

愛美は笑った→実写の愛美も笑うみたいな。


CGに関しては過剰なやり過ぎ感が漂っていた。

弘樹の部屋の床からあんなのが登場しますが、

もっとはっきり人らしく描けばよかったと思うんだよ。

その方が怖さも増幅するし、黒こげじゃ何がなんだか分からん。



≪総評≫

上記した+α的不満以外は特に不満点もなく、

上質な作品だったと思います。

エンターテイメントとしてよく出来ていて、シナリオに沿って直接的な怖さ、

精神的な弱さ、感情の変化、様々な要因によってプレイヤーを

引き込んでいくその様が秀逸。


この体験はゲームでしか不可能だなとプレイし終わった時に思ったので、

プレイする以前の僕のようにサウンドノベルに懐疑的な印象を持っている方、

是非プレイしてみては如何でしょうか。