春野寿美礼の新人公演初主演は研6の時1996年(H7年)「ハウ・トゥー・サクシード」だったが、第一部で霧矢大夢が主演ととなり、第二部のみの主演となった。1999年(H10年)バウ初主演となった「冬物語」が好評だったため、2000年(H11年)再演されて東京でも上演の運びとなる。2000年の新専科騒動で、当時のトップ愛華みれのい下にいた匠ひびきと伊織直加が抜けたために、1期下の瀬奈じゅんとともに実質二番手コンビとなり、愛華の次の匠もこの二人で支えることとなった。春野と瀬奈は”オサアサ・コンビ”と呼ばれて大いなる人気を呼ぶ。

 

 2002年「琥珀色の雨に濡れて/Cocktail」は匠ひびきの退団公演となったが、匠の病気により東京公演前半休演となって二番手だった春野寿美礼が代役を務め、これが図らずもトップ就任のリハーサルの様になってしまった。そして春野は2002年(H14年)「エリザベート」にて大劇場主演を飾ることとなる。大鳥れいが愛華・匠に引き続き「エリザ」で春野の相手役を務めたがこれで退団し、その後ふづき美世が相手役としてコンビを組み、二番手瀬奈じゅん、三番手彩吹真央の布陣となった。ただし、春野は抜群の歌唱力が売り物だったがダンスの評価は今一つだったようで、踊りに関しては瀬奈にお任せする場面が多かったような気がする。

 

 だが2004年末に瀬奈が月組トップ就任のために組替えとなり、彩吹が二番手に昇格して蘭寿とむ、未涼亜希、愛音羽麗等が中堅クラスとして目立って来た。2005年には真飛聖が星組から組替えとなり、一旦は蘭寿と並んで三番手格となる。2005年(H17年)「落陽のパレルモ/ASIAN WINDS!」でふづきが退団となり、2006年に蘭寿が宙組へ移動となって真飛が単独三番手となって、春野は2006年(H18年)「ファントム」から桜乃彩音とコンビを組む。この後彩吹が雪組へ組替えとなり、真飛が二番手に昇格した。特に歌が重要になる「エリザベート」と「ファントム」の両作品で主役を務めたのは、今のところ春野しかいない。

 

 彩吹・真飛・蘭寿はそれぞれ1年差で、雪組の水夏希と貴城けいのケースと同じ差し替えパターン人事と思われる。その後結果的に真飛は春野退団で花組のトップになった一方で彩吹は雪組で二番手のまま退団となり、これが大きな議論を呼ぶことになった。2007年に壮一帆が雪組から再び花組へ組替えとなり、最終的に春野の下二番手真飛、三番手壮という体制となった。

 

 次作2007年(H19年)「明智小五郎の事件簿-黒蜥蜴」で桜乃は緑川夫人こと怪盗黒蜥蜴を演じたが、原作の設定とは大きく異なり“19歳で夫人と言いながら処女”という複雑なキャラになっていた。桜乃の容姿というのは、どうも上手く表現できなのだけど、自分が従来持っていた娘役のイメージのどのパターンにも当てはまらない感じで、ある意味元祖黒蜥蜴の美輪明宏にも通じるような独特な眼差しからこの設定になったのでは、などと妄想してしまうくらいだった。そして同年「アデュー・マルセイユ/ラブ・シンフォニー」が春野の退団公演となった。