仮面があると、すごく落ち着く。自分の顔にぴったり納まって、ホントウの私を塗り潰してくれる。弱くて大嫌いな自分を隠してくれる。 

 だから、私は仮面がないと生きていけない。仮面がなかったら、私は私でなくなる。というか、ホントウの私って何だろうって思う。  私は、仮面一つで色々変わる。強くなれる。勝ち気でいれる。泣かなくなる。もっとずっと耐えることが出来る。
 でも、と思う。
 全部嘘な私は、私じゃないんだろうか? と。
 私は、どれでも私じゃないのか? と。
 
 私は、それを認めることが出来ない。認められなくて、嘘の仮面で泣き顔すら隠したまま、無理に笑う。 
 ただ、一人だけでいいよ。一人だけでいいから、私が無理しないでいいように接してくれる人が傍にいてほしい。 


 そう、私……古手川 律は思った。