ストーカー体質の、木こりが、いました。
ストーカーは、現代も、むろまち時代も、
かわりません。
となりの、村の 娘に恋をした木こりは、
むすめが、自分に 振り向いて、
くれないことを 知っていました。
なにしろ 木こりは、木を切ってばかり。
森にいて、魅力がありません。
木こりは、自分で作った木のかごに、
娘を とじこめ ました 。
そして、ずっと そばにいることを、
誓いました 。
むすめは、逃げようと、繰り返しました。
これを 見ていた 森の 聖霊が、
むすめに、ある 約束を しました。
たすけに 行くまで、 待っててください。
その あいだに、 あなたの 運命の
ひとを おしえましょう 。
こうして 娘は、 自分のうんめいを
知りました 。自分の運命のひとを、
知ることに なりました 。
その後、 むすめは、 泣きません 。
なぜなら 運命を 知っているから 。
それは 同時に、自分と 木こりは、
運命の相手では、ないことも、
知っているからです 。
こうして むすめは、運命の相手を、
木の かごの なかから、想うことが、
できました 。その時間は しあわせな
時間でした 。木のかごは、せまくて、
いたい けど 、むすめは、ひとりじゃ
ありません 。
ほんとうに ひとりなのは、木こりです。