彼は自宅で悩み苦しんでいた。付き合っていた恋人が交通事故に遭い植物状態になってしまったからだ。どんなことをしても彼女を助けたい、そう願った時後ろから声がした。
「あなたの望みを叶えに来ました」
振り向くとそこには質素な服を来た若い青年がいた。
「あんた誰だ?勝手に家に入り込んできて」
「率直に言います、私は悪魔です」
青年はそう自己紹介した。
「ほう、それが本当なら私の彼女を治すことが出来るのかい?出来ないだろう、今すぐ帰ってくれ」
「あなたの望みがそれでいいならやってみせましょうか?もちろんその代償はいただきますが…」
「ふん、お金が目的なのか?なんでも払うからそういうのは治してから言って欲しいものだな」
「本当にいいんですね?」
「ああ、出来るものならな」
「わかりました、ではちょっと待って下さい」
青年はそう言うと何やら唱え始めた。数秒後青年はこう言った。
「治りましたよ」
「嘘をつくんじゃない、お金だけ持って逃げようという算段だろう、俺は騙されないぞ」
「なら病院に電話をかけてみてはいかがです」
そんな馬鹿なことがおこるはずもない、彼はそう思ったが青年の言い分が気にかかり電話をかけることにした。
すると看護師から彼女が意識を取り戻したと明るい声で言われた。
「こんなことがあるとは…、お前は本当に悪魔だったのか」
「ですからそう言っているでしょう」
彼は喜んだが代償を払わなければいけないことを思い出した。
「代償とは何だ?やはり私の魂か?彼女を救えたのなら喜んで渡すよ」
「いえいえ、そんなもの持っていっても面白くありません、あなたが一番大事にしているものを持っていくことにしています、この場合だと彼女さんですね」
青年はにやにやしながら言った。
「俺の願いは彼女を救うことだ、彼女を持っていったら意味がないじゃないか」
彼は焦って言った。
「しかし願い事を先払いで叶えましたからね、もう取り消しは効きません」
「ま、待ってくれ…。」
彼は叫んだが青年はすぐに消えてしまいその声が届くことはなかった。
