tree17. 不眠症 ①睡眠のメカニズム
不眠症で悩んでいる人って結構多いもので、外来にもよくいらっしゃいます。眠剤を処方することは簡単ですが、やはり自身が睡眠のしくみを知って、どうして不眠なのか、また自分の不眠対策は間違っていないか、確認することが大切だと思います。
ということで、今シリーズでは不眠について紹介します。まず、今回は睡眠のメカニズムについて。
どうして人間には睡眠が必要なのでしょう?人間に限らず、寝ない動物なぞいないわけですが、動物にとって睡眠というのは、どうしても必要です。
人間にとって、睡眠は主に大脳の休息のためにあります。膨大な情報を処理し、他の筋肉よりも10倍以上のエネルギーを要するといわれる大脳は、睡眠不足に弱いのです。睡眠をとらないと、大脳の細胞破壊がどんどん進行してしまいます。
ちなみに、大脳発達の低い生物は、後述するノンレム睡眠がなかったり、睡眠の段階が違います。
さて、睡眠のメカニズムですが、レム睡眠、ノンレム睡眠という言葉を聞いたことがありますよね?人間の睡眠は、この2種類がうまく組み合わさって、構成されています。それぞれの役割について、以下に簡単にまとめておきます。
①レム睡眠
急速眼球運動(rapid eye movement この頭文字からREM)を伴う睡眠をいいます。急速眼球運動とは、閉じたまぶたの下で眼球がキョロキョロと動くことです。体はぐったりしているものの、脳は覚醒に近い状態で、夢をみていることが多い状態です。
入眠後1時間半ほどのノンレム睡眠後に出現し、その後1時間半間隔で一晩に4~5回繰り返す、という特徴があります。また、日中に見聞きしたことを長期記憶に固定する役割もあります。
②ノンレム睡眠
レム睡眠でない睡眠のことで、浅いまどろみ状態からぐっすり熟睡している状態まで、脳波で4つの段階に分かれます。このノンレム睡眠のときに、大脳が休息します。
睡眠時には、ノンレム睡眠とレム睡眠がセットになって4~5回繰り返しますが、覚醒に近づくにつれ、ノンレム睡眠が浅くなります。
睡眠を調節している「体内時計」といわれるものがあります。これは、一日を基準とした睡眠・食事・運動などの生活リズムをコントロールしている、体内の時間割のようなものです。本来、人間は一日25時間を単位としているのですが、朝、光を浴びることによって、この体内時計がリセットされ、24時間周期で生活できるようになっています。
この体内時計では、眠気は昼過ぎに一度小さなピークがきて、23時前後に大きなピークがきます。ただし、眠気のくる時間には個人差があります。
以上をまとめると、人間は主に大脳を休息させるために眠ります。この睡眠は、体内時計によって調節されていて、ほぼ決まった時間帯に眠気がきます。入眠後、ノンレム睡眠とレム睡眠(それぞれ一時間半)のワンセットが4~5回ほど繰り返されます。ノンレム睡眠で大脳を休め、レム睡眠では体を休め、長期記憶を固定します。覚醒が近づくにつれ、ノンレム睡眠は浅くなります。
さらに付け加えると、朝に光を浴びないと、体内時計がリセットされないため、時差ぼけ状態が起こります。なので、休日でもきちんと朝起きて、太陽の光を浴びたほうが、体調はよくなります。
また、睡眠は最初のワンセットが一番重要で、入眠後の3時間にきちんと熟睡できるか、が、疲労回復のポイントになります。
では、今回はここまでにします。次回は睡眠障害についてお話します。