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tree16. 痴呆 ②痴呆の種類

今回は、痴呆の種類について紹介します。

痴呆は、「アルツハイマー型痴呆」「脳血管性痴呆」の2つが双璧で、これが痴呆の約8割を占めます。

以下にそれぞれの特徴を述べます。

 

<アルツハイマー型痴呆>

①病態…βアミロイド蛋白という異常な蛋白質が脳に蓄積され、脳の神経細胞が変性・脱落し、脳が萎縮して起こります。原因はまだ不明です。

②発症…平均発症年齢52歳女性に多いです。

③進行状況…なだらかに進行します。

「前駆症状」

知的障害が出現する2~3年前から、人格変化(頑固になった、うつ状態になった、不眠になった、不穏になった、など)を認めることが多い

「第一期」

健忘症状、空間的見当識障害(迷子になる)、多動・徘徊

「第二期」

高度の知的障害、失語・失認、錐体外路症状(筋肉が固まって動きにくくなる、など)

「第三期」

高度な痴呆の末期で、しばしば痙攣や失禁、拒食・過食などを起こす

④物忘れの自覚…なし

⑤画像…CT・MRIでは、中等度以上のアルツハイマーで側脳室や脳溝の拡大がみられ、高度になると大脳皮質の萎縮がみられます。つまり、軽度だと正常と見分けがつかない場合が多いのです。

 

<脳血管性痴呆>

①病態…脳梗塞や脳出血によって、脳組織が広範囲にわたって障害されると起こります。動脈硬化を予防することが、脳血管性痴呆の予防につながります

②発症…50~60歳代男性に多いです。

③進行状況…階段状に進行します。アルツハイマーに比べて、人格は保たれることが多いです。また、四肢の運動マヒなどの神経症状を伴うことも多いです。

④物忘れの自覚…あり

⑤画像…CTやMRIでは、脳梗塞や脳出血の病巣がみられます。CTでは脳室周囲に低吸収域がみられ、MRIでは脳室周囲の高信号域がみられます。

 

以上の2つについては、現在のところ確立した治療法はありませんが、以下のような治療が行われています。

「アルツハイマー型痴呆」に対する薬剤として、「アリセプト(ドネペジル)」というものがあります。これは初期~中等度の患者に使われ、主に前頭葉の活性をよくして病状の進行を抑える、といわれています。ただし、胃腸障害や頻尿、頑固、神経質、足がすくむ(パーキンソニズム)、などといった副作用があります。

 

「脳血管性痴呆」に対しては、脳循環・代謝改善薬を使用しますが、この痴呆は動脈硬化の予防や、高血圧・糖尿病などの疾患があれば、それに対する治療が重要です。

 

さて、次に治る可能性のある痴呆について紹介します。

 

<慢性硬膜下血腫>

頭部の打撲によって、脳の血管が切れ、数日~数週間かけて硬膜とくも膜の間に血液がたまり、それが脳を圧迫して頭痛や吐き気に続いて、物忘れ症状を起こします。手術でこの血腫を取り除くと、痴呆は改善します。

<甲状腺機能低下症>

甲状腺ホルモンの低下により、痴呆症状をきたすことがあります。甲状腺ホルモンの内服により、痴呆は改善します。

<正常圧水頭症>

脳脊髄液が、何らかの理由で流れが悪くなり、どんどんたまって脳を圧迫することにより、痴呆・歩行障害・尿失禁の症状が出現します。シャント術によって、5割前後の改善が望める、といわれています。

 

 

今のところ、痴呆の予防としてできることは、動脈硬化の予防で脳血管性痴呆を防ぐことや、日ごろから頭を使って脳の代謝をよくすることなどです。痴呆については、まわりの家族の介護が重要になってきます。高齢社会の日本、痴呆も含め、介護を社会全体で支えていく姿勢が必要です。

痴呆については、以上で終了します。