tree14. めまい | Chrisのナルホド医療の木

tree14. めまい

外来をやっていて、訴えが多いもののひとつがこの「めまい」です。

今回は、この「めまい」の種類について紹介します。

 

「めまい」の原因はいろいろありますが、中には迅速な対応が必要なものがあります。めまいと共に次のような症状があれば、夜中であろうとなんだろうと、すぐに病院にかかってください。脳出血など、脳に異常をきたしている可能性があるので、CTのとれる脳外科のある病院がいいです

 

A.激しい頭痛や吐き気がする

B.意識がなくなった

C.ものが二重に見えたり、手足や唇にしびれがある

D.眼振(目が勝手にうごく状態)がある

E.手足の自由がきかない

F.顔半分や、その反対側の体の感じがおかしい

G.ものが見える範囲がせまくなったり、暗い部分がある

 

 

さてさて、そもそもめまいってどんなものなんでしょう?

人間の体には、頭の中の小脳・脳幹と両耳の内耳にバランスを司る機能があって、何らかの原因でそのバランスが崩れたときに、めまいがおこります。感じ方は人それぞれですが、めまいの仕方によって、次のように分類されます。

 

回転性めまい

自分自身がぐるぐるまわったり、周囲がぐるぐるまわったりする感じをいいます。平衡器官に血流障害や炎症、むくみなど、急激な変化が起こったときにあらわれます。

代表的な病気は以下のとおりです。

 

・メニエール病…内耳のむくみが原因といわれている病気で、回転性めまい発作を繰り返し、耳鳴りや難聴をともないます

 

・突発性難聴…突然起こる高度の難聴で、多くは片側だけです。大きなめまいは一度きりです。内耳のウイルス感染や、血流障害が原因と考えられています。発症してから治療を開始するまで2週間以上たっていると、治りが悪くなることがあるので、早めに受診してください

 

・外リンパ瘻…頻度は少ないですが、手術で回復が期待できる数少ない内耳の病気です。鼻をかんだ時、航空機の下降時や、重量物の運搬などを行った後に症状がでます。水音のような耳鳴りがしたり、難聴時に耳にはじけるような音や痛みが生じます。2週間以内に手術をすると、めまいや難聴が回復できる可能性が高いので、早めに診断されることがポイントです

 

・前庭神経炎…激しい回転性めまいが突然起こります。大きなめまいは一度きりで、耳鳴りや難聴は起こりません。回復までに数週間から数ヶ月かかることがあります。風邪ウイルスによる感染や、神経にいく血行の障害、神経そのものの変性などが考えられています。

 

・中耳炎耳だれや発熱があった場合は、急性中耳炎の可能性があります。また、鼓膜の奥に粘液がたまって中耳炎を起こしている場合もあります(滲出性中耳炎)。この中耳炎を起こした細菌やウイルスが原因でめまいが起こったり、中耳炎による内耳の障害でめまいが起こることもあります。

 

・椎骨脳底動脈循環不全…脳にいく血管の血流量が一時的に減少しておこるもので、首をまわしたり、顔を上下に向けたり、体位を変えたときにめまいが起こります。回転性のめまいが一番多いですが、ふわふわするような浮動性めまいが起きたり、目の前が真っ暗になることもあります。とくに50歳以上で高血圧、高脂血症のある方は要注意です。

 

・小脳や脳幹の出血

 

・良性発作性頭位めまい症…頭をある特定の位置に動かしたり、寝返りをうったりしたときに、長くて1分以内の激しい回転性めまいが起こります。安静にしていても治らないので、めまいのする位置に積極的に頭を動かして慣れさせるとよい、と言われています。

 

・悪性発作性頭位めまい症…頭を動かすと激しい回転性めまいと吐き気・頭痛が起こります。小脳出血や小脳腫瘍などが原因です。良性発作性頭位めまいと違い、めまい時に眼の上下の揺れがみられたり、頭を何度動かしてもめまいが軽くなることはありません

 

動揺性めまい

頭やからだがフラフラしたり、グラグラと揺れている感じのするめまいです。上記のような、回転性めまいを起こす病気でも、こういった症状になることがあります。平衡器官が広範囲におかされたときに多いといわれています。また、ふらつきが小脳の異常からくることもあります。

代表的な病気は以下です。

 

・脳幹、小脳梗塞…脳動脈の血管が細くなったり、つまったりして、脳の神経細胞が死んでしまう病気です。めまいは、脳梗塞の後遺症として起こることがあります。

 

・聴神経腫瘍…名のとおり、聴神経にできる腫瘍で、小さいうちは耳鳴りと難聴だけなのですが、大きくなると、ふらつきや顔面神経麻痺がでてきます。さらに大きくなると、吐き気や頭痛、意識障害がでることがあります。いつとはなしに始まる片側の難聴は、この腫瘍の可能性があるので早めに検査を受けましょう。

 

・薬物によるめまい…薬の中には、副作用としてめまいや難聴を起こすものがあります。結核に対する抗生物質であるストレプトマイシンカナマイシンが有名です。

 

立ちくらみ(眼前暗黒感)

立ち上がったときにクラクラしたり、長いこと立っていると目の前が暗くなったりする感じのことをいいます。

代表的な病気は以下です。

 

・起立性調節障害…自律神経の異常によるもので、こどもによくみられます。10歳以上の学童に多く、大人になると自然に治ります。

 

・起立性低血圧…横になったり、座ったりした姿勢から、急に立ち上がったときに、急激な血圧の低下を起こし、立ちくらみや失神を起こすことがあります。軽度の場合はとくに治療は必要ありません。

 

そのほかにも、頚椎症(むちうち)ストレスでめまいが起こることもあります。

 

めまいが起きたら、とりあえず横になって休みましょう。休んでもおさまらないようであれば、病院へ行ってください。受診する際に、医者に伝えることを整理しておくといいです。

医者が聞くのは、だいたい次のようなことです。

 

(1)いつ、どこで何をしていたときに起こったか。

(2)どんなめまいだったか。ぐるぐる回るようなめまいか、ふらふらするめまいか。歩くとふらつきがでるか、立ちくらみがあったか。

(3)ほかに症状はあるか。耳鳴りや難聴、頭痛、手足のしびれなど。

(4)今までにも繰り返し起こったことがあるか。持続時間はどれぐらいか。

(5)頭のむきや体位によって誘発されるか。

(6)高血圧や高脂血症などの生活習慣病を指摘されたことがあるか。

 

めまいの原因となる病気の中には、早く治療を始めないと治りにくくなるものもあります。また、めまいの程度は病気の重症度とは比例しないので、程度が軽くても一度病院を受診されることをおすすめします。

「めまい」につきましては、これにて終了いたします。