tree13. 痛風③ 痛風の診断と治療
今回は、痛風の診断と治療についてお話します。
前回まで、痛風と高尿酸血症について紹介しましたが、ここで注意してもらいたいのは、このふたつは同じ意味ではない、ということです。つまり、「高尿酸血症」が長く続いた結果として、尿酸結晶が関節炎を起こした状態を「痛風」というのです。だから、尿酸値が高くても痛風とは言えないし、逆に痛風のときに尿酸値が低い場合もあるのです。
痛風の診断基準としては、以下のものが使われています
①尿酸塩結晶が関節液中に存在する
②痛風結節がある
③以下の項目のうち、6項目以上を満たす
1)2回以上の急性関節炎の既往がある
2)24時間以内に炎症がピークに達する
3)ひとつの関節だけに症状がある
4)関節の部位が赤くなる
5)足の親ゆびの付け根の関節に激痛、腫れがある
6)片足の親ゆびの付け根の関節に炎症がある
7)片足の足首の周りの関節の炎症がある
8)痛風結節がある
9)血液検査で尿酸値が高い
10)X線写真で非対称性の腫れがある
11)発作が完全におさまることがある
さて、いよいよ治療ですが、「痛風発作」の時期と「高尿酸血症」の時期では、治療法がまったく変わってきます。
痛風発作時の治療は、「コルヒチン」「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」「ステロイド薬」の3つです。
Ⅰ.痛風発作の前兆が起きたら、コルヒチンを1錠(0.5mg)内服します。これによって、発作をおさえたり、症状を弱くしたりする効果があります。
Ⅱ.発作がすでに起こったときや、コルヒチンでは効果が得られなかったときは、NSAIDsを短期間だけ比較的大量投与し、炎症をおさえます。ただし、NSAIDsには胃潰瘍や腎障害の悪化などの副作用があるので注意が必要です。
Ⅲ.NSAIDsが投与できない場合(ワ-ファリンを飲んでいる人、NSAIDsにアレルギーがある人など)や、関節炎をあちこちに起こしている人の場合は、ステロイドの内服薬を使います。
注意点としては、痛風発作時はなるべく患部を安静にし、冷やすことです。飲酒や運動はもってのほかです。また、この時期には尿酸値を変動させるとますます症状が悪化することがあるので、尿酸降下薬を開始しないことです。ただし、すでに尿酸降下薬を内服している場合は、そのまま内服を続けます。
次に、痛風発作を起こしていない、高尿酸血症のときの治療について紹介します。
痛風発作の既往や痛風結節がある場合は、薬物治療を開始します。
まず、血液検査と尿検査で「尿酸排泄低下型」「尿酸産生過剰型」「混合型」に分類します。
原則としては、「尿酸排泄低下型」に尿酸排泄促進薬であるプロベネシド、ブコローム、ベンズブロマロンを使います。
「尿酸産生過剰型」には尿酸生成抑制薬であるアロプリノールを使います。
中等度以上の腎障害がある場合や、尿路結石がある場合は、尿酸生成抑制薬を使います。
注意点としては、急激に尿酸値を下げないことです。痛風発作を誘発することがあります。
尿酸値コントロール目標としては、4.6~6.6mg/dlです。
痛風発作の既往や痛風結節がない場合は、尿酸値8mg/dl未満であれば、食事療法・運動療法などの生活指導を行います。
尿酸値が8mg/dl以上で、腎障害、尿路結石、高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、糖尿病などの合併症がある場合は、前述の薬物治療を行います。
合併症がない場合は、尿酸値が9mg/dl未満であれば、生活指導を行います。9mg/dl以上であれば、薬物治療を開始します。
痛風発作時と非発作時では、治療法がまったく違うことを覚えておいてください。
発作時は、とにかく冷却・安静・禁酒と、薬物(コルヒチン、NSAIDs、ステロイド)です。
非発作時は、痛風発作の既往があれば薬物療法、そうでなければ尿酸値と合併症の有無によって、薬物治療を始めるかどうか決定します。
近年、高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満などの生活習慣病は、1人の患者に集積することが知られていて、これを「メタボリックシンドローム」と呼びます。ま、つまり、「肥満の人は高脂血症、糖尿病などになっている場合が多い」とか、「糖尿病の人はすでに肥満や高血圧などをかかえている」というような概念です。
高尿酸血症は、内臓脂肪がたまっている指標とも考えられていて、このようなメタボリックシンドロームになっている場合があります。
尿酸値の高い方、ぜひ、生活習慣病のチェックもしてみてください!
以上で、痛風シリーズを終了します。