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記者気分!

What's up!?

今日はいつもとちょっとスタイルを変えて

盛り上がってきたNBAをさらに楽しむため

ちょっとした記者になった気分でレポートをお届け!

はじまりはじまりにひひ

 本日アメリカテキサス州サンアントニオにて行われたアメリカプロバスケットボールNBA2012プレイオフ、西の頂上決戦、ウエスタンカンファレンスファイナル第1戦は、サンアントニオ・スパーズがオクラホマシティ・サンダーを本拠地AT&Tセンターに迎えた。

 スパーズはこれまでレギュラーシーズンをリーグ最高の成績で終え(レギュラーシーズンの終わりから数えると35試合中4敗)、プレイオフに関しては負け知らずでここまで来ているにも関わらず、プレイオフ前は主力選手、ダンカン(37歳)、ジノビリ(34歳)、パーカー(30歳)の高齢化を理由に、優勝候補に名を挙げた人は殆どいなかった。
 対するサンダーは、既にNBAのスーパースターに成長している生え抜き、2年連続リーグ得点王デュラント(ドラフト2007年 2位)、リーグ屈指のPGウエストブルック(2008年 4位)、6th Man賞受賞のハーデン(2009年 3位)、を擁し早くから今季のNBAチャンピオン有力候補に上げられる注目度の高いチームのひとつだ。

 対象的に見えるこの両チーム。実は共通点は少なくない。NBAのチームが存在する他の都市と比べ決して大きな都市ではなく、フランチャイズの規模は小さい。そんな経済状況もあってか、両チームとも高額なFA選手の獲得でここまできたわけではない。着実なスカウティングによる選手獲得は全米のみならず、世界のどこからでも「光る素材」を見つける事に長けており、ドラフト順位の低い選手も確実に戦力としてシステムに組み込んでいる。(実際サンダーのGMはかつてアシスタントGMとしてスパーズにいた。)
 中心選手をより詳しく見ていくと、大黒柱のダンカン、デュラントはもちろんだが、両チームともPGのポジションにリーグ屈指のプレイヤーがいる。このパーカー対ウエストブルックのPGマッチアップは見ものだ。残念ながら今プレイオフにおいてウエストブルックはパーカーほどのPGとのマッチアップを経験していない。そしてスパーズのオフェンスは間違いなくパーカーのP&Rを起点にしてくる。
 もう一つ見逃せないマッチアップはジノビリとハーデンだ。共にスターターではなく、ベンチから1番に出てくる6th Manという役割をチームで果たす。スターターの多くがベンチに下がる2ndユニットがフロアにいる時間は彼らが起点で、2人共破壊力抜群だ。
 それでも、最も重要なのは、コーチオブザイヤーを共に受賞している両ヘッドコーチ(ポポビッチ2011-2012、ブルックス2010-2011)、この2人のリーダーシップの大きさだ。両者とも何よりもディフェンスを大切にするが、ポポビッチはよりコントロールされたオフェンスを好むと言われ、ブルックスは若手の運動能力を最大限活かせるオープンコートにアタックする事を選手に求める。
近年ではディフェンスがチャンピオンシップをもたらすと言われている。オフェンス面に違いはあるが、どちらのディフェンスが相手を封じる事が出来るのかに注目だ。

 ゲームはスパーズのスターターが、ダンカン、ディーオウ、パーカー、グリーン、レオナルド。サンダーがデュラント、イバカ、パーキンス、ウエストブルック、セファローシャ。立ち上がり第1Qスパーズは最初のシュートをミス、そしてターンオーバー(TO)とリズムが掴めない。対するサンダーは3Pとデュラントのレイアップで着実に得点する。パーカーが立て直そうと1本シュートを沈めるが、次の攻撃ではまたTOからウエストブルックが速攻でレイアップを決める。試合開始5分でスパーズはTOが4つとらしくない時間帯が続くも残り6:08では10-11でサンダーが1点のリード。この時間にジノビリを投入しリズムを変えようとするポポビッチHC。この起用が当たったのか、ジノビリが流石と言うべきか、1Qの終わりにダブルクラッチ、そしてブザービーターとなる3Pを沈め24-18とスパーズが逆転。第2Qに入るとサンダーの方は注目の6th Manハーデンをゲームに入れ流れを引き戻そうとする。ハーデンが3Pを決めるが、それでもジノビリが3Pやアシストで簡単に流れを渡さない。ここで光ったのがシーズンの途中にサンダーには足りないと言われ続けてきた経験を補うべくレイカーズからトレードでやってきたプレイオフ出場試合数219を誇るベテランガード、フィッシャーだ。残り5:58には2連続となるシュートを決めここからは両チーム一進一退の試合展開となる。残り11.6秒でフィッシャーの3Pが決めれば、残り4秒でレオナルドが2点入れ返し、前半は46-47でサンダー1点リードで折り返す。
 ここまでは今ひとつサンダーのスピードについていけないのか、どこか浮き足だってみえるスパーズが14のTOで経験豊かなチームらしくない試合運び。現地コメンテーター曰く、このシリーズがスパーズのプレイオフでの初めての本当の意味でのチャレンジとなるだろう、という言葉がぴったりと当てはまる。対するサンダーも大爆発からはほど遠くまだまだ納得はしていないだろう。
 後半第3Q、まずオープニングプレー、そしてシンプルなスクリーンを使ったプレーでサンダーがデュラントを起点にペースを掴む。時間が進むにつれじわじわと得点差を広げこの日最初の5本のシュートを全て沈め13得点をあげたフィッシャーの貢献もあってサンダーが62-71とこの試合最大のリードを奪い突き放して3Qが終わる。
 第4Qに入る際にベンチでポポビッチHCが『お遊びは終わりだ。もっと泥にまみれろ(more nasty)。まだまだ自信の無さや、躊躇しているところがある。簡単なはずなんてないんだ。』とゲキを飛ばし、さらに『プレイオフは勝ち進むにつれて難しくなる。ドライブをするどく。いいパスを。自信を持ってシュートしろ。もっとしつこくプレーするんだ。(get nasty!)』と再三ゲキを飛ばす。ガラリと変わったスパーズは、控えセンターのスプリッターが気をはき加点、ディフェンスも3分28秒の間サンダーを無得点に抑えると、残り7:52でパーカーが同点に追いつく2Pを決める。この時点でスパーズはコートにパーカー、ジノビリ、ジャクソン、ニール、ダンカンと小柄なラインアップ。サンダーもマッチアップによるアドバンテージを取られない様、パーキンス、イバカを下げサイズダウン。それでもこのマッチアップは歩があったスパーズのデフェンスが機能。このQでこの日全部の4つのオフェンスチャージをとり、ウエストブルック、ハーデンに仕事をさせないと、逆にジノビリがゲームを支配。P&Rからの起点となり得点を重ねると残り3:02でジャクソンも値千金の3Pを決める。サンダーのTOから残り1:50ジノビリが今度は絶妙なドライブ&パスフェイクからバスケットカウントワンスロー。サンダーはハーデンの3Pとウエストブルックのレイアップでなんとか食い下がるが勢いを止められず、最後はスパーズが冷静に試合を101-98締めくくった。
この試合を振り返ると両チームの差は僅かだが、スパーズの試合を通して修正する能力の高さが素晴らしいとしか言いようがない。パーカーとウエストブルックがお互いのディフェンスによって相殺された形だが、そこからゲームメイクと得点をジノビリ中心に切り替えた。またディフェンス面での修正もスパーズが上手だったように感じられる。P&R、ドライブに対しての方向付けが徹底されていたし、スモールラインアップでデュラントが4番をプレイする時間のジャクソンのデュラントへの執拗なディフェンスは評価に値するし、何よりサンダーはイバカを下げざるを得ないことでシュートブロッカーを失ってしまった。
 結果論かもしれないが、試合の大事な場面残り7:52、同点。この時点でポポビッチがフロアに送ったメンバーはパーカー、ジノビリ、ジャクソン、ニール、ダンカン。多くのコーチがする様に試合を決めるメンバーを固定することはしないポポビッチの流れを読む冷静さと緻密な分析に裏打ちされた柔軟な選手起用。ここが最大の勝因ではないだろうか。
 対するサンダーは経験不足を補うため獲得した選手が大事なところで見事に活躍してくれたが、その上を行ったスパーズがこれで19連勝。これまで現地報道では、プレイオフをあまりに順調に勝ち進んでいるが故に、苦しい場面でステップアップ出来るのか?という不安材料を上げられていたが、私はこのゲームを制した事で一気に優勝候補最有力となったと見ている。
とはいえ、7戦中4戦先取のこのシリーズ、見た目には同じサンドイッチ、けれど中身はまったりソースとピリ辛マスタードと、全然違うこの両チームの対決はNBA2012プレイオフの中でも最高のシリーズになるかもしれない。

hope u enjoyed it!

peace!